「定義」がデジタルマーケの効果を決める理由 なぜ日本企業の施策は「不十分」なのか
2017年時点で、デジタルマーケティングを推進する企業には、Web広告企業やデータマイニング企業がある。Web広告企業におけるデジタルマーケティングの定義は、たとえば次のようなものである。
特徴は、マーケティングといいながら、プロモーションだと定義していること、そしてインターネット上の取り組みに限定していることである。言い換えれば、インターネットプロモーション、Webプロモーションと変わらない定義である。
リアル店舗とECチャネルをシームレスに統合するオムニチャネル化を進めることが課題となっている現在、インターネット上に限定する取り組みがデジタルマーケティングではない。プロモーションはマーケティングのごく一部の取り組みにすぎない。したがって、この定義では、現実のマーケティング活動のごく一部だけをデジタルマーケティングだと考えることになる。
実際、日本企業の中には、リアル向けプロモーションの莫大な予算を広告宣伝部が持ち、インターネット向けプロモーションの微々たる予算をEC事業部が持つ構造になっているところも多い。しかし、オムニチャネルでは、プロモーション予算もリアルとインターネットでシームレスに管理すべきであり、そうでないと投資対効果の最大化が図れない。
ターゲティングしか見ないデータマイニング企業
一方、データマイニング企業に見られるデジタルマーケティングの定義は、次のようなものである。
「データ」にこだわった定義で、2000年以降誕生した、顧客データを蓄積するデータストレージ企業やデータマイニング系のデータ分析企業によく見られる定義である。データにこだわること自体は間違っていないのだが、データをインプットすれば、あたかも方程式を解くがごとく解決策が出てくると考えているところに問題がある。
マーケティング戦略を策定する際に、セグメンテーション、ターゲティングを行うが、どのセグメントをターゲットにすべきか考えるのはマーケティング担当者であり、データではない。AIでもない。人間が仮説を持ち、データがその仮説が合っているかを検証する。あくまでも人間が「主」であり、データとAIが「従」である。
ところが、データマイニング企業は、データとAIが「主」であり、「データをインプットすると、ターゲットが決まります」と方程式で解けるようなセールストークをする。
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