「定義」がデジタルマーケの効果を決める理由 なぜ日本企業の施策は「不十分」なのか

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一方、デマンドサイドを重視しているのが、Jリーグだ。2017年8月にNTTグループやヤフー、楽天などとビッグデータ分析で提携した。サポーターがスタジアムで観戦する頻度や年齢などを分析するシステムを2019年までに構築する。スタジアムの来場履歴や関連グッズの購買履歴を蓄積し、プロモーションを行う。

こういったデマンドサイドの消費者理解もまたデジタルマーケティングの構成要素になる。もっとも、現在のJリーグID登録者は38万人にとどまる。このID登録を来場者940万人にどこまで広げられるかが、当初の成功のカギになる。

Jリーグにしても、スタジアムでの体験とオンラインでの物販、コミュニティ、ロイヤルティの形成など、リアルとオンラインの統合までは、まだ検討がしっかりとはなされていないようである。

全体像をつかむことで機能する

なぜ多くの日本企業で、サプライサイドばかり考え、デマンドサイドが抜け落ちたり、また、その逆の事態が起こるのだろうか。それは、デジタルマーケティングの全体像が見えていないからである。では、デジタルマーケティングの全体像とは何か? 以下のように定義することができる。

デジタルマーケティングとは、データドリブンでターゲット消費者へ製品やサービスを認知させ、消費者の購買前行動データに基づいて興味・関心・欲求を醸成し、購買データを取得する。購買データと購買後の消費者の評価データを基に製品開発、サービス開発への示唆を得る。これらのデータを、ECチャネルとリアル店舗から取得し、消費者に最適な購買体験を提供する、一連の活動をいう。これらの活動の目標は、消費者との関係性を深め、最終的に消費者のエージェント(代理人)になることである。

 

大切な要素は2つだ。まず1つは、データドリブンで消費者を理解すること(デマンドサイド)。もう1つは、リアルとオンラインのシームレスな統合を図り、つながりのある消費者に最適な購買体験を提供すること(サプライサイド)である。これら2つの要素を満たすのが、デジタルマーケティングを機能させるということである。

ところが、多くの日本企業は、どちらかの要素に偏っており、デジタルマーケティングを十分に機能させることができていない。逆に考えると、2つの要素を満たすだけで、他社にはない競争力の源泉にすることができるのだ。

では、なぜデジタルマーケティングの全体像が見えないのか。それは、デジタルマーケティングを推進する企業が、自社の活動領域だけでしか、デジタルマーケティングを見ていないからである。

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