「文学賞なし」で人気作家になる人のリアル

「投稿サイト」で夢は叶いやすくなったのか?

こうした動きは、作家を目指す人たちにとって、追い風となっているのだろうか? 小説投稿サイトへの応募をきっかけに、普通の主婦からベストセラー作家に一変するという、シンデレラ・ストーリーを体現した作家・本田晴巳さんが話を聞かせてくれた。

普通の主婦からベストセラー作家へ

本田さんは2011年、小説投稿サイト「Berry’s Cafe」に投稿した『ソース』が大賞を受賞し、翌年に作家デビュー。同作はテレビドラマ化もされた。さらに、心を病んだ女刑事が主人公の『メンヘラ刑事』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)シリーズは累計5万部を突破し、コミカライズもされるなど反響を呼んだ。

幼い頃から妄想が趣味で、頭の中で物語を作ることはあったという本田さん。小説の投稿を始めたのは2007年だった。当時、仕事や人間関係で悩んだことから、遺書の代わりに書き始めたのがきっかけだという。

「当時、まだ小説投稿サイトは少なく、作家志望者の多くは自分のブログやホームページ、2ちゃんねるなどの掲示板で執筆をしていました。私が小説を書いていたのも掲示板でしたね。ベストセラー『電車男』が生まれたのも掲示板だったので、その影響でした」

本田さんによると、掲示板で小説を書くメリットは、読者から感想がもらえることだという。それまで小説を書いたことがいっさいなかった本田さん。人が殴り合うシーンで、「ドカッ、バキッ」と表現するレベルだったそう。

本田晴巳さんの人気作『ソース』

掲示板ではそんな彼女の作品を読んで、意見やアドバイスをくれる人たちがたくさんいた。また、自分が書いたものを読んでくれている人がいる、という喜びも支えとなり、長編小説を書きあげることができたという。そこから生まれたのが『ソース』だった。それからの活躍は前述のとおりだが、遺書を書くほど悩んでいた状態から、小説投稿がきっかけで人生が変わったのだ。

ベストセラー作家でありながら、現在も創作活動の合間に、小説投稿サイトなどが開催するコンテストへ応募を続けている本田さん。近年は投稿サイトの増加に伴って、コンテストの回数や募集ジャンルも増えているという。

「ネット発の小説の世界は、かなり変わったと思います。10年前は、『恋空』など女子高生の恋愛ものがメインだったのが、ホラー、ミステリー、ファンタジーなどジャンルの幅が広がりました。本屋さんに並ぶネット発の書籍も、当時からは考えられないほど多いですし、ベストセラーもたくさんあります」

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