あの「経産省若手レポート」は炎上覚悟だった 人生100年時代に「全員賛成」の政策はない
コーディネーター・石井芳明氏(以下、石井):このプロジェクトは、「こんなこと言ったらまずいんじゃないか」という部分も含めて、若手が問題意識を思い切って“言い放った”もの。産業構造審議会という格式高い会で突然発表されたのですが、当日まで管理職も内容を知らされず、次官と若手メンバーだけで資料作成が行われました。実際、どんな思いでプロジェクトに加わり、どうやって作ったのですか。
「次官・若手プロジェクト」に懸けた思い
経産省・足立茉衣氏(以下、足立):私は、役所でずっと仕事をする中で、どうしてもそのときの目の前の自分の業務しか見えなくなって、狭い世界に生きてしまうことが気になっていたんです。通常2~3年で異動するのですが、所属部署が変わっても、何か一貫する軸を持ちたい、つねに広い視野でいたい。そこで本来業務と並行的に、中長期的な課題について考えるこのプロジェクトに参加しました。
いま世界は、転換点に来ているんじゃないかと思います。ブレグジット、ドナルド・トランプ大統領、ポピュリズムなど、世界は大きく動いていて、技術的にもITの進化によってマッチングが効率的に行われ、これまで中央集権的に行われてきたものが壊れていくかもしれない。国家のあり方は変化していくのではないか? このままの政策でいいのか? そこが議論の出発点でした。
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