「日本的正社員」という働き方は時代遅れだ 20代の若者も50代のオジサンも苦しんでいる

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「日本でしか通用しない正社員」という「時代遅れの器」が、諸悪の根源かもしれない(写真:xiangtao / PIXTA)
電通という、誰もがうらやむような会社で痛ましい自殺がありました。さまざまな報道がなされていますが、今回は改めてサラリーマンの働き方について考えます。ダイバーシティ(多様性)という言葉が注目を集め、1億総活躍社会を目指す日本ではありますが、一方で毎年2万人を大きく上回る人々が自殺をしているのも事実。日本人はこれからどういう働き方を目指せばよいのか。草食投資隊の3人に考えてもらいました。

「正社員だから安心」という考え方は正しいか

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渋澤:先日、「美と資本主義」という企画で瀬戸内国際美術祭に行きました。高齢化に悩まされている島々ですが、そこでちょっと考えさせられました。野外アートや空き家そのものをアートにしてしまう芸術祭ですが、これをきっかけに日本全国だけではなく世界から人々が集まってきて、新たな「エコシステム」が出来ています。

そのため若い家族たちが子供を連れてIターンして移住するケースが結構あるようなのです。ITなど、場を選ばなくても良い職種の方々が主体のようですね。

今の日本人は、どちらかといえば生活の安定を求めて正社員になりたがるのですが、瀬戸内に移住している人たちは、どちらかというとそのようなステータスを求めているわけではありません。でも、彼らは不安感を抱いておらず、むしろ今のワーク・ライフ・バランスの生活の方が豊かだと満足している。これは、限られたケースかもしれませんが、私は、もはや「フルタイムの正社員だから安心だ」という考え方を、根本的に見直す必要があるのではないかという確信を高めました。

中野:私が就職活動をした30年前は、瀬戸内の島で働くということは想像もできませんでしたが、そういう働き方を選択する人が増えてきているのは、それだけ多様な働き方が認められるようになったからだと思います。

それはもう、昔に比べれば大きな変化です。でも、一方でまだ終身雇用制度に「執着」している人がいる。大企業に勤めている今の50代前後以上の一部などは、その典型例です。新聞ざたになるような悪いことでもしないかぎり、クビにならずに済む。だから仕事の質も低いし、量も少ない。

そのしわ寄せが、若い人たちに向けられているとも言える。先日、電通というすばらしい大企業に勤務しながら、若い女性社員が自殺するという痛ましいケースがありましたが、これもさまざま理由はあるにせよ、「終身雇用という既得権」と関係がないとは言えないかもしれません。

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