ピケティ絶賛!格差解消の切り札はこれだ 平等な社会に向けた現実的なビジョン
経済学が社会道徳科学であることを実証
アンソニー・アトキンソンは、経済学者のなかでも独特の位置を占める。過去半世紀にわたり、アトキンソンは主流トレンドに刃向かって、不平等の問題を自分の研究の中心に据えつつ、経済学がまず何よりも社会道徳科学なのだということを実証してみせた。その新著『21世紀の不平等』――これまでの著書よりも個人的で、行動計画に完全に専念した本だ――において彼は新しいラディカルな改革主義の大胆な概略を述べている。
アトキンソンの改革主義には、進歩的なイギリスの社会改革者ウィリアム・ベヴァリッジを思わせるものがある。読者は、彼のアイデア提示の方法を楽しんでほしい。この伝説的なまでに慎重なイギリスの学者は、本書ではもっと人間的な側面をあらわにして、論争に身を投じ、具体的で革新的で説得力ある提案の一覧を提示する。それは別のやり方がまだ存在すること、社会進歩と平等への戦いが正当性を回復せねばならないこと、それもいま、ここでそうすべきだということを示す。彼は累進課税への復帰を財源とする、ユニバーサルな家族手当を提案する――これらをあわせると、イギリスの不平等と貧困をアメリカの水準からヨーロッパの水準まで引き下げるはずだ。
また彼は、失業者のための最低賃金での公共的な就職保証を訴え、革新的な国民貯蓄システムで、預金者に収益保証をつけることで、資産所有へのアクセス民主化を支持する。18歳になった時点で資本給付という形で万人に相続財産が与えられ、その財源はもっと強固な相続税だ。イギリスの人頭税――地方政府の一律税率の税――は廃止し、サッチャリズムを実質的に破棄しようと言う。その効果は実にすがすがしい。ウィットに富んで、エレガントで深遠なこの本を是非読んでほしい。それは政治経済学とイギリスの進歩主義が提供してくれるものの最良のブレンドとなっている。
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