「飛び級レベルの国語力」を身につけるヒント 読書好きなのに国語の点が伸びない子の盲点

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国語の問題は中学受験の段階で、すでに大きく物語系と説明文系の2つがあります。これは高校受験、大学受験にもつながる体系です。

読書が小さい時から大好きだけれども、読書が物語系だけで、その後、説明文系へ波及しない場合、大人になって推理小説にはまっているというケースがあります。そして、異口同音に「私は読書が好きだったのに、国語ができなかった」と言われます。「どのような本を読まれたのですか」と聞くと大体「物語・小説系ばかりです」とお答えになります。もちろんこれは悪いことではありません。ひとつのあり方です。ただ、国語で得点できるようにはならなかったということです。

一方、初めは物語系から入り、その後、読書の種類が、説明文系へ発展した人は、国語の偏差値が高く、中学受験でも上位校に合格しているケースが多いのです。

先ほども述べましたが、中学受験の国語の問題は実に文章量が多いですね。難関校の問題など、びっくりするほど多いです。小4の段階でも非常に多い文字数の文章を読み、問題を解くのですから、説明文の文章に日頃から親しんでいない子にとっては、地獄でしょう。もちろん日頃から説明文の本を読む習慣がある人は、本1冊読むことから考えれば、テストの国語の文章程度、別に大したことではありません。さらに語彙レベルや考えるレベルも飛び級しているため、この差が、国語の差となっていきます(ただし、後天的に、高校生になってから国語力をつけることは可能です。論理というものが理解できる年になれば、理解力でカバーできるようになります。しかし、その場合でも、国語の点数が伸びても、大量の活字に対する抵抗感は残る場合があります)。

我慢して読むことは読書嫌いにつながる

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ですから、岩田さんの場合、今後、お子さんに物語系から説明文系へ徐々に読書の種類を変えていかれるといいでしょう。1つの方法としては、図書館を利用するという方法があります。やはり図書館は知の宝庫です。子どもの興味・関心を引く本はたくさん置いてありますが、次のように注意しなければいけないことがあります。

・子どもに関心がありそうな説明文系の本を「自分で選択」させ、手当たり次第、借りてくる。誘導や雰囲気づくりはいいが、強制した読書は破綻する

・借りてきても、つまらないと思ったらその本は読まない。我慢して読むことは読書嫌いになるだけでしょう

・何よりも親が図書館に行くという心掛けを持って行動する。親に読書習慣がなくても、図書館へ行き、子どもの興味をかき立てるような環境をつくってあげることはできる

まだまだ他にも方法はあると思いますが、身近にある図書館は無料で利用できるのですから、使わない手はありません。ぜひ、お子さんと知の吸収を楽しむ場をつくってみてください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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