その調整期間で社員を育てる努力をする。そして、5年か10年も経つと、創業社長より優れた社員が育ってくると思います。新しく優秀な社員が加わってくる。もう、会社は自分が率先垂範、つねに先頭を走らなくてもいいかなと感じ始めたら、社長は人徳を積み、社員に基本方針(=基本理念+具体的目標+最終目標)を提示するだけでいい。
「この方針にのっとって、それぞれが責任をもって仕事をしてほしい。この方針に違反するようなことをすれば泣いて馬謖(ばしょく)を斬(き)ることもします。そういうことを心に留めて、しっかりとそれぞれの仕事に取り組んでほしい」
それだけ言って、創業社長は「先頭の立ち位置」から「後方の立ち位置」に移動したほうがいいと思います。いわゆる、「激烈な独裁者」から「目配りする人徳者」になる。「狩猟隊長型経営者」から「羊飼い型経営者」になることが必要だということです。
松下幸之助も3回変身した
創業経営者は、この「3回の変身」をすることが、事業を成長発展させるベースになると私は松下幸之助さんを見続けて感じました。もちろん、松下さんの「経営者としての3回変身」は、「激烈さの時代」が23歳に起業してから40歳過ぎ頃まで。「調整の時代」は、それから55歳頃まで。それが過ぎてからは「後方からの見守りの時代」。そのように「経営者としての3回変身」が「松下幸之助という人が、70年間の生涯経営者たりえた理由」の重要な1つではないかと思います。いわば「信長型経営者」から「秀吉型経営者」、そして「家康型経営者」に3回変身したということです。
そうではなく、一貫して「信長型経営者」を続けるならば、失敗する機会が多くなるだけでなく、「明智光秀」が出てくると思います。また「秀吉型経営者」にとどまっていると「群雄割拠」の組織になってしまいます。
しかし、最終的に「家康型経営者」としても、最初から「家康型」でベンチャー事業が軌道に乗るかといえば、まったく可能性はないといえるのではないでしょうか。創業経営者が、最初から「後方に立つ」ようでは、仲間も社員も創業社長のやる気を疑ってしまうからです。
このことは、創業社長だけに当てはまるわけではありません。在任期間が短いとしても、就任当初「信長型経営者」→軌道に乗れば「秀吉型経営者」→後継者に引き継ぐために「家康型経営者」という具合に変化していくことを心掛けるべきだと思います。
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