就活で6月までに選考が終わるとは限らない 内定を出した企業の顔ぶれには偏りがある

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このように足の速い2018年卒の就職戦線。だからといって、面接選考解禁日の6月1日はすでに終盤戦、と見るのは早計です。その代表的な理由を2つ述べましょう。

1つは、すでに内定を出し始めている、企業の「顔ぶれ」が偏っているためです。就職活動中の学生には常識かもしれませんが、「採用広報開始が3月、採用選考開始が6月」というガイドラインには法的な拘束力がなく、それを遵守するか否かは各社の判断に委ねられています。

つまり、守らない企業もあれば、”守る企業”もあるということ。実際にすでに内定を得た学生からその社名を伺うと、たとえば、毎年多くの学生を採用しているA社の名前はいっさい出てきません。面談などを行って学生との接触を繰り返しているものの、選考を目的とした面接は6月以降という姿勢を貫いているからです。そのような企業はA社に限ったものではなく、ほかにも一定数存在しています。

結局、現時点で内定を出している企業にはある種の偏りがあり、学生の多くは「面接選考6月開始」を遵守する企業の動きが本格化する6月を、クライマックスととらえているようです。

採用予定より多く内定を出す事情とは?

もう1つは、すでに内定を出し始めている企業も、5月までにすべての内定を出し終えているわけではないためです。採用難の今、企業はより確実に人材を確保するため、採用予定数よりも多い数の内定を出す傾向があります。また、そもそも企業の採用の目的は、自社で活躍する人材の獲得です。自社で活躍できそうかどうかを見極めねばならず、それには一定の期間が必要なのです。

ここ数年はインターンシップが盛んになり、採用広報開始の3月よりも前に、企業に対する知識を深めている学生が一定数出てきています。が、インターンシップ参加学生だけで必要な採用母集団のすべてを確保できるような、ある意味で恵まれた企業はごくわずか。学生から見れば、有名かつ超人気の企業の多くが、いわゆる就職・採用活動期間を重要な期間と位置付けて、採用活動をしているのです。

本命視する企業がある人は、自分以外の別の学生がそこから内定をもらった、といううわさを耳にすると、気が気でないことでしょう。だがそれは複数人必要な内定者の1人にすぎません。こういう大切な時期だからこそ、他人の動向などに惑わされすぎず、地に足をつけて、これから始まる本番に臨んでほしいと思います。

岡崎 仁美 リクルートキャリア 就職みらい研究所所長

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おかざき ひとみ / Hitomi Okazaki

1993年(株)リクルートに新卒入社。以来一貫して人材関連事業に従事。転職情報誌『B-ing関東版』副編集長、転職サイト『リクナビNEXT』編集長、『リクナビ』編集長を歴任。2013年3月、就職みらい研究所を設立し所長に就任。現在、内閣官房「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」「地方創生インターンシップ推進会議」、文部科学省「インターンシップ推進方策実行ワーキンググループ」等の委員を務めている。

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