いけている“オーバー30”に必要なもの
『ゲーテ』や『GQ』で腕を組んでいるおしゃれな経営者やビジネスパーソンにも修業時代はあったわけでして、筆者の取材によれば30歳過ぎに“いけているビジネスパーソン”になるためには、下記のような要素が修業時代に必要なようです。
1)どんなに小さな仕事でもゼロから最後まで自分でやり遂げた経験
2)しびれる大失敗経験
3)小さくても成功経験
4)できる人に圧倒されてイジメられた経験
やっぱり失敗して恥をかくのは若いうちのほうがいいですし、自分の仕事が会社のどの部分の何なのかわからないよりは、極小プロジェクトでも全体像を把握して俯瞰して見た経験があるといいものです。そういう意味では質問者の方は新卒でベンチャーに入った際に、肌感覚で会社の動きというものがわかったことでしょう。大企業に新卒正社員で入ると、どこまで行っても子会社、関係会社の人との付き合いで済むということさえあるものです。
35歳になれば、同世代も人生十色
20代のうちに、「この人はすげえ」という人を、近くても遠くても見つけてベンチマークするのはよいことです。「私淑」するというのも日本古来の素敵な言葉です。そして頑張っていると、ある日、一抹の寂しさと共に目指していた人を「抜いたな」と思うときが来るのです。
新卒で就職したときは、同じような顔をして同じような人生を進むかに思えた同世代の友人たちも、35歳くらいで十人十色の人生になっているものです。人生の要所でその人に会うことによって自分を確認できるようなメンターや友人を持つことはお勧めです。私は20代のときに一緒に起業した友人がいますが、彼はMBA、コンサルを経て誰でも知っている上場企業の執行役員をやっています。先日も彼と会って、彼が「20代で起業したときの自分と比べて守りに入ってないか、をいつも気にしている」というのを聞いて、筆者も自分を顧みることができました。
質問者の方は、(1)大手企業の管理・企画部門を目指す、(2)少数精鋭企業で幹部として経営までタッチする――というキャリアを将来的に考えているそうですが、(1)では若いうちはパーツの一部分しか触れないかもしれませんし、(2)では雑用ばかりの中小企業かもしれません。そのため自分が「好きなこと」「本質的に心地良い」と思うことを目指せばいいと思います。運や偶然もありますし、キャリアは変数に満ちあふれているので、目指すくらいがちょうどいいものです。
もしも質問者の方が経営を学びたかったり、世間の尺度に合わせたくないのであれば、起業すればよいと思いますし、今なら数千万円くらいならすぐにベンチャーキャピタルから集められます。こちらのオプションを取る際には拙著『リアルスタートアップ』の一読をおすすします。
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