何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
【Vol. 15】 次にやりたいことが見つかりません
いつも記事を楽しく拝見しています。(僭越ながら)私も似た世界を歩んできた経験があるため、深く同意したり、時に大笑いしながら読んでいます。
今回、塩野様にご相談したいことは、「思い描いたキャリアを実現してきた今、次にやりたいことが見つからない」という悩みです。
私は、国立大学を卒業後に大企業に入社し、米国一流大学への社費留学から帰国した後は、外資系戦略コンサルや外資系投資銀行に勤務し、主に企業買収・再生などを手掛けてきました。幸運にもそれぞれの職場で高い評価をいただきプロモーションも順調で、充実したキャリアを全うしてきたと思います。
今にして思えば、あの頃の私は自信に満ちあふれ、周囲も皆「あいつはピカピカだ」と一目置いてくれていましたし、自分もそれを疑うことはまったくありませんでした。もちろん金銭的にも恵まれていましたし、プライベートでも華やかな生活を送っていました。
そのような順風満帆なキャリアだったのですが、リーマンショックや東日本大震災という経験を経て、自分が歩んできたキャリアや人生のゴールへの疑問が強くなり、ここ数年は勤めていた会社を退職してNPO法人のお手伝いをしながら暮らしていました。しかしながら、(現在の仕事にやりがいを感じてはいるのですが)最近になってやはり「まだ若いうちにもう一旗」という気持ちが強くなり、そろそろビジネスの世界に戻ろうか、と考え始めています。
ところが、今になって「どんな仕事に就きたいか」ということに、まったく答えが見つかりません。かつては誰もがうらやむキャリアを作り上げたつもりだったのですが、実際はただ「みんながうらやましがる仕事」を選び、与えられた仕事を必死でこなしていただけで、「自分が何をしたいのか」を真剣に考えたことはなかったように思います。
一方で自分でもふがいないのは、せっかく180度のキャリアチェンジを断行してNPOで働いたものの、やはり元の収入や華やかな生活への未練が断ち切れないことと、それでいて外資金融・コンサルに頭を下げて戻るのにも非常に抵抗が強いことです(また現実問題として、ご存じのようにリーマンショック以後、外資系金融・コンサル・ファンド等は大幅に縮小してしまい、私のように中途半端なシニアに戻る場所はあまりなさそうに思えます)。
さまざまな職務経験を積んできてはいるのですが、「このフィールドなら俺は一流」と言い切れるほどの自信はない、温室育ちの偏差値エリートです。私はこれからどうすればいいでしょうか。
長文でたいへん申し訳ありませんが、ぜひ、塩野様からアドバイスいただければ幸いです。
ザク 自営業
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