何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
ですが、経験がありません。
経理は「経営にかかわる仕事」ではないのか?
みなさん、こんにちは。東京はクチナシの花の香りを感じる今日この頃ですが、お元気でいらっしゃいますでしょうか?
今回はシンガポールにいらっしゃる経理・財務責任者の方から、将来のキャリアに関するご質問です。ご質問者の方は30代後半ということで、すでに実務経験も長く、体力もまだあるかと思います。ある意味でいちばん、働くことのできる時期かもしれません。そうした方のご質問にお答えさせていただきます。
まず筆者は、今回のご質問で少し不思議に思ったことがあります。質問者の方は「経理では、直接、会社経営に影響力のある仕事ができないと思い、より経営にかかわれる仕事をやりたい」とおっしゃっていますが、シンガポールの経理・財務責任者は「経営にかかわる仕事」ではないのでしょうか?
もしかしたら大企業のシンガポール現地法人にお勤めで、なかなか経営における意思決定の全体像がつかめないように思われているのかもしれません。ただ、「経理・財務責任者」とのことですので、「この年齢になっても会社がどうやって回っているのかわからないんだよね」という状況ではないと思います。
質問者の方はUSCPA、TOEIC 950点ということで、ハードスキルの基盤はあるようですし、ご自分のスキルセットからも現在の環境に納得されていないのかもしれません。一方、ここで他社に移ったとしても、また同じような仕事になり、しかもスケールダウンしてしまうかもしれません。社内でコースに乗っているのであれば、そのまま役員を目指すというオプションもあるのではないでしょうか。そこはしっかりと考えたほうがいいかと思います。
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