高収入のキャリアを歩んだ末に悩んでいます キャリア相談【Vol.15】

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2つ目のご提案です。今までの経験と能力を生かして、政府関連、パブリックセクターに行かれてはいかがでしょうか? 行先は存在を増している政府系機構(官製ファンド)のイメージです。既存の機構には投資銀行や戦略系コンサル出身のプロフェッショナルが多くいますし、みんな中途採用です。彼らが転職するくらいの報酬体系はあることでしょう。本当に能力のあるプロフェッショナルを必要とする機構はまだまだあります。

質問者の方は企業買収・再生のご経験がおありとのことで、スキルセットは問題ないかと思います。蛇足ですが、ロバート・ルービンのようなプロフェッショナルがパブリックセクター(財務長官)に行ったように、プロフェッショナルとして通ってみるべきキャリアだと思います。ルービン氏には毀誉褒貶ありますが『ルービン回顧録』はお勧めです。

正しい人が強くなるか、強い人が正しくなるか

海外の大学院でもパブリックセクターのマネジメントのクラスはあったことでしょう。今一度、ロナルド・コースの書物を開いていただければと思います。民間出身の人間がパブリックセクターの事象をつかむには、エージェンシー理論やインセンティブ設計をベースにOB(Organizational Behavior)について官民のギャップ分析をするのが早いかと思います。

おそらく質問者の方もNPOではインパクトを定義し、創出するために悩まれたことでしょう。官製ファンドのドメインにおいて、市場が失敗した際に公共セクターが修正を施すためには、市場と官民の特性を熟知した、私心なきよき人がかかわる以外に解決策はなかなかないものです。

ぜひ、今までのキャリアはこれをなすためにあったんだというイベントをパブリックセクターで探してください。わが国の政府債務残高GDP比率を考えれば、何らかのイベントは起きるはずですし、成長セクターの創出は必須です。優秀な方がノーブレスオブリージュやエリートの矜持をなくしては、この国はダメになってしまいます。なかなか気分が乗らないようであれば、戦後の歴代総理に多大な影響を与えた思想家である安岡正篤の『一日一言』を毎日読むことをお勧めします。

質問者の方はご自分を「温室育ちの偏差値エリート」とおっしゃいますが、絶対に強くなってください。今までの同僚の中でも体を壊したり、心を壊したりした方もいたことでしょう。40代のバリキャリエリートだった人でも、心身を壊したり、生きたくても生きられなかった人はいます。健康な人は強く生きるべきです。正しい人が強くなるか、強い人が正しくなる以外に、社会に救いはありません。ぜひとも、持てる力を使って迷えるこの国を救ってください。何とぞ、よろしくお願いいたします。

 ※ 塩野さんへのキャリア相談はこちら

塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO

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しおの まこと / Makoto Shiono

国内外の企業への戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。各国でのデジタルテクノロジーと政府の動向について調査し、欧州、ロシアで企業投資を行う。著書に『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)、『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(KADOKAWA)等、多数。

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