アベノミクスブームで勢いに乗る安倍政権が、いよいよ日本の労働政策を大きく転換しようとしています。
安倍晋三首相が議長を務め、榊原定征氏 (東レ会長)や竹中平蔵氏、新浪剛史氏(ローソン社長兼CEO)などの有識者が委員に名を連ねる産業競争力会議(内閣府)。「産業の新陳代謝の促進」「人材力強化・雇用制度改革」「農業輸出拡大・競争力強化」などテーマ別に分科会が作られ、議論が進んでいますが、とくに注目されるのが、労働政策プランです。
3月に発表された「成長のための労働政策」と題したアクションプランでは、民間人材ビジネスを最大限活用したマッチング機能の強化や、労働者派遣制度の見直しに向けた検討を加速するほか、正社員の解雇規制の緩和、さらに、
《雇用維持型から、労働移動支援型への政策のシフト》
などが打ち出されています。
つまり、民主党政権で行われてきた現状維持型に比べて、雇用の構造が大きく変わる可能性が高まってきているのです。
失業者が急増することのないように、セーフティーネットに関する施策が検討されたり、成熟産業から成長産業への労働移動に際しては「労働移動支援助成金」などが強化される方向であるなど、構想実現に向けて着々と議論が進められている印象を受けます。
さて、安倍政権のこうした労働政策に対する世間の評価はどうでしょうか?経営者にインタビューしてみると、
「労働力の流動化を推し進める機会として、期待している」
と、評価する声が多く聞かれます。さらに企業の競争力を高めるのに「いい機会」ととらえて、社内で人事改革、組織改革を打ち出す企業も増えているようです。
一方、“労働力の移動”を迫られることになるかもしれない社員にとっては、寝耳に水の一大事です。
「今後、同じ仕事を続けることができなくなりそうで、不安です」
と語ってくれたのは、製薬会社でMR職をしているGさん(42歳)。
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