キャリアチェンジに成功する人の「共通点」 安倍政権下で加速する、正社員雇用の流動化

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長年、病院向けの医薬情報担当一筋にやってきた彼は、別の仕事に変わるよう求められても難しいと思っているようです。

ただ、本人に心の準備がないとしても、すでに同じ職場で同じ仕事をし続けることが難しい時代に突入しています。いくら経験豊富で専門性の高い仕事をしてきたとしても、若手が台頭したり、その職種で人手が必要でなくなったりすれば、別の仕事へ異動せざるをえません。

たとえば、製薬業界においては、病院向けの情報提供は、徐々にネット上での配信にシフトしています。将来的にMR職による情報提供の必要性が下がり、製薬業界がMR職を大幅に減らす可能性は大きく、多くのMRが職種の移動(異動とも言えますが)を余儀なくされることでしょう。

こうした動きは様々な業界で始まっています。ある金融機関では、契約書のペーパーレス化によって、それをチェックする組織自体が廃止に。3年計画で、その事務系人材を営業職へ職種転換する方針が打ち出されました。このように部門自体がなくなって、異動せざるを得なくなるケースもあります。

こうした傾向は、今回の安倍政権の労働政策によって、ますます加速するかもしれません。

キャリアチェンジ派は意外と少ない?

このように労働環境が激変するかもしれない今、改めて注目されるのがキャリアチェンジです。主に転職活動において活用される言葉ですが、これまで経験・習得してきた職務内容から、まったく別の経験のない仕事へと変わる、移ることを意味します。たとえば、

・海外を渡り歩いた商社マンが、教育業界へキャリアチェンジ

といったように、職場自体を変えてしまう転職型のキャリアチェンジ。

・化粧品会社のマーケティング職から、広告会社のエンジニア職にチェンジ
 ・食品メーカーの企画職から、IT企業のwebディレクター職にチェンジ

といったケースもあるでしょう。

もうひとつは、社内公募にエントリーして建築会社の設計職から、建築部門の営業職に職種転換するといったような、社内でのキャリアチェンジです。

いずれにしても、職務内容や環境が大きく異なる世界への挑戦。言葉としてはよく聞きますが、自ら望んでキャリアチェンジをする人は意外と少ないのが実情です。

いくら社会人経験があって、ビジネスパーソンとしての基本ができていたとしても、これまで自身が培ってきた技術が生かされない可能性が高くなります。新たなスキルを身につけるために学習したり、新たな人間関係を構築するために手間暇をかける必要が出てきます。

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