30代人口急増!流山市、"異端"の街づくり マーケティングがあれば、地方都市は蘇る!

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「母になるなら、流山市。」――。ここ数年、都内の主要駅などでこのようなポスターを見掛けた人もいるのではないだろうか。子育てしやすい街をアピールし、移住を促したい千葉県流山市のイメージ広告だ。自治体がこのような広告を展開するのは珍しい。
流山市には広告の企画や作成などを担う「マーケティング室」という組織があり、この部隊が若い世帯にターゲットを絞り、誘致に奮闘しているのだ。
千葉県の北西部に位置する流山市は大きな企業や商業施設が少なく、住民の高齢化も進んでいた。ただ、最近は総人口が右肩上がりの状態。現在16万8000人と2005年に比べて1万人も増えている。特に、30歳代の若いファミリー世帯がグングン増加中だ。
流山市に何が起きているのか。民間シンクタンク出身者で、市の改革の原動力である井崎義治市長を直撃した。
30代ファミリー好みの街づくりでにぎわう、つくばエクスプレス・流山おおたかの森駅周辺

――井崎市長は「日本一快適で住みやすい街にする」などの目標を掲げ、改革を進めてこられました。就任当時はどのような状況だったのでしょうか。

就任当初は、流山市の人口が長い間低迷し、高齢化率が上昇していました。日本全体が人口減少時代に突入する時期でもあり、流山市もさらに高齢化が進むであろうことが想像できました。人口が増える街にするにはどうすればよいか。その考えから、マーケティングとブランディング戦略が必要、という結論になったのです。

市役所内でのすさまじい反発

幸いにも、当時の流山市は知名度が非常に低かった。地域イメージもまったくない。「よい」も「悪い」もない、いわば「白紙状態」でした。

むしろ、これはチャンスだと。流山市はゆったりした戸建て住宅が多く、緑化資源(公園や緑地など)が豊富にあります。こういった実態を維持、強化しながらPRしていけば、地域イメージをプラスにすることができる。その可能性を大いに感じていました。

そこで、まずSWOT分析やポジショニング、ターゲットの整理などのマーケティング戦略を遂行したのです。

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