30代人口急増!流山市、"異端"の街づくり マーケティングがあれば、地方都市は蘇る!

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”千葉の二子玉川”にしたい

――とはいえ、若い世帯に訴求することは容易ではないのでは?

首都圏の地域イメージだと、東京都の西側や横浜方面がいいのは確かです。ただ、若い方々が子育てするときに、流山を見に来てくださったならば、その方には迷わず流山を選んでもらえるようにしたい。

そのために、子育てや教育環境を充実し、良質な住環境の整備に力を入れています。流山市は東京で例えるならば、渋谷区に対する二子玉川(世田谷区)のような位置づけにしたい。私は「ポスト浦安市(千葉県)」とも言っています。

市内の駅と各保育園を結ぶ送迎バスは、共働き世帯から絶大な支持を集める

子育て世帯に選ばれる街になるための方針として、大きく3つの柱があります。

ひとつ目は、財政健全化の実現。効率的、効果的な経営体に変える必要があります。市の財政状況が悪くては、都内で手厚い市民サービスを受けている人を誘導することはできません。

2つ目は、良質な住環境の整備。2007年に「景観条例」、10年に「最小区画住宅面積の拡大」を規定した「開発事業の許可基準等に関する条例」、そして12年に街の付加価値を高める開発を誘導する「街づくり条例」。さらに、13年には「子育てにやさしいまちづくりの環境を整えるための大規模な共同住宅等の建築における保育所設置の協力要請に関する要綱」を策定しました。緑についても、「CO2吸収源倍増計画」などを進めています。

3つ目は、子育て・教育環境の充実です。許認可保育園の新設・増設により、定員数を2009年度に比べて67%増やしました。これからもさらに増強し、定員数を09年度から14年度までの6年間で2.5倍に増やし、待機児童ゼロを目指します。

教育については、昨年4月から市内中学全校にALT(外国語指導助手)を、全中学校8校に1名ずつ配置しました。小学校でも、ネイティブのスーパーバイザー(小学校英語指導員)3名が全15校をサポートしています。

駅名の変更がターニングポイントに

――「送迎保育ステーション」というサービスは共働き世帯に人気がある、と聞きました。どのようなサービスですか。

行政サービスがヒット商品になることもあります。行政が新しい商品を開発することで、人口誘導は可能です。そのひとつが、「送迎保育ステーション」。「このサービスがあるから流山市に引っ越してきた」という住民もいますよ。

「送迎保育ステーション」は、市内2カ所の駅前送迎保育ステーションと各保育園をつなぐサービスです。駅前に一時預かり施設を併設しているため、親は出勤前に施設に子どもを預け、出勤後にその施設に迎えに行けばよい。1回100円と手軽に利用できることも人気の理由だと思います。

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