ジャパネット髙田明「できる理由を考える」 猛反対された生放送テレビショッピング

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実は、あのときは生放送の直前だったんですよ。ニュースを見ながらどうしようかって思いました。日本中の皆さんが、ハラハラドキドキしながら、飛行機に乗っている人たちがどうなるのか心配しているときに、テレビショッピングをしていいものなのかどうか、するとしてもどんな感じでお話しすればいいのか、私自身もニュースを見てハラハラしながら考えていたんです。

胴体着陸はひとりのケガ人も出すことなく見事に成功しましたよね。スタジオの私たちも胸をなで下ろし、自然と拍手が湧き起こりました。10時54分でした。なんと、生放送開始の数十秒前でした。放送では、もちろん、その話から始めました。

「皆さん、見てましたか? 飛行機、よかったですねぇ。私もうれしかった。思わずスタジオで拍手しちゃいました」

これが、生放送なんです。突発的に起こるさまざまな出来事も視聴者の皆さんと共有できます。同じ時間を生きていることが、ダイレクトに伝わるんだと思います。収録ではこんなことはできません。生放送だからこそ、どんなことが起こっても、ご覧になっているお客さまの心に寄り添って番組を作ることができる。生放送は視聴者の皆さんと、その瞬間の感動を共有できます。それが、私のこだわりのひとつでした。

失敗とは「やらなかったこと」である

自社のスタジオを持ったことは、今のジャパネットたかたがある1番の理由だと、私は思っています。あれが、ターニングポイントでした。スタジオを持つことで、速い時代の変化に即応して、ハードルの高い課題も乗り越えてくることができました。スタジオを作っていなかったら、今日佐世保に届いた商品を今日紹介できる体制もできませんでした。スタジオがなかったら、他のテレビショッピングと似たようなものになってしまい、特色を出すことはできなかったかもしれません。

スタジオ作りはゼロからの出発で、反対もされましたけど、できない理由に納得することなく、可能性を追い続けたからこそ成功したのだと思います。これをやってなかったら、今のジャパネットたかたはありません。これも、「今を一生懸命に生きる」という思考から生まれたことだと思います。

私は、やらなかった失敗はあっても、一生懸命にやった失敗はない、と思っているんですよ。やってうまくいかないときは修正していけばいい。結果に一喜一憂するのではなくて、数字を見ながら修正して数字を上げていく、その繰り返しです。それを私は自己進化型って思っています。

なぜ「失敗はない」と思えるかといえば、毎日300%の力で物事に取り組んでいるという自負があったからだと思います。だから、他人からは失敗に見えても自分は失敗と思いません。取材でよく「失敗したことは」と聞かれますが、あまり思い浮かばないんです。

たとえば500個売れると思った商品が100個しか売れなくても、「100個しか売れなかったから、失敗した」とは思いません。「うまくいかなかった点を修正して、また挑戦すればいい。次は500個を超えるようにしよう」と考えます。

多くの人は失敗そのものではなく、ベストを尽くさなかったことを後悔するのではないでしょうか。

私は、失敗というのは一生懸命にやらなかったことだと思っています。一生懸命やっても結果が出なかったときには、失敗ではなく「試練」という言葉を使います。そういう試練を乗り越えて、人も会社も大きくなっていくのではないでしょうか。

髙田 明 ジャパネットたかた創業者、A and Live代表取締役、V・ファーレン長崎代表取締役社長

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たかた あきら / AKIRA Takata

1948年長崎県平戸市生まれ。大阪経済大学卒業。阪村機械製作所に入社、入社2年目からヨーロッパに駐在し、機械営業の通訳に従事。74年平戸へUターンし、父親が経営していた「カメラのたかた」に入社。観光写真撮影販売から事業拡大し、86年に分離独立して株式会社たかたを設立、代表取締役に就任。90年からラジオショッピング、94年にはテレビショッピングに参入し、通信販売事業を本格的に展開。99年ジャパネットたかたに社名変更。2011、12年はテレビの販売不振で2期連続減収減益。2013年は、自らの進退を懸けて過去最高益更新の目標を掲げる。テレビに代わる商材の発掘、東京オフィス開設等々が奏功し、目標を達成。2015年1月、ジャパネットたかた社長の座を長男に譲り退任。同時にA and Liveを設立。2016年1月にはMCとしての番組出演も「卒業」。2017年サッカーJ2クラブチーム、V・ファーレン長崎代表取締役社長に就任。クラブの立て直し、再建に注力。2017年11月にJ1昇格を達成したが、2018年はJ2に降格。今季J1復帰を目指して奮闘中。

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