留学生を自国生よりも優遇する国はない
OECDの統計によると、欧米の大学の場合、外国人留学生は自国の学生に比べて平均約3倍の授業料を払っている。オーストラリアは自国民の授業料が円換算で約45万円に対し留学生は約130万円、カナダは約36万円に対し約95万円、イギリスは約22万円に対し約170万円である(これは平均であって、一流大学となれば授業料は跳ね上がる)。
これが先進国の常識であり、留学生を自国学生より優遇する国などない。アメリカの場合、アイビーリーグなどの一流大学となると、授業料は最低でも4万ドル(約400万円)はする。これではいくら奨学金が充実しているとはいえ、ほんの一握りの超優秀学生(授業料が免除になったりする)を除いて、一般家庭では、子供を留学させるのは大変だ。
アメリカの場合、家庭の収入により授業料をスライド式に安くする制度がある。しかし、これは留学生には適用されない。また、州立大学では州民の授業料を安く設定し、州外学生、留学生などの授業料とは差をつけている。したがって、国費留学、企業からの派遣留学でない場合、授業料と生活費の支払いで、親の負担は大変だ。
私の娘は数校の大学に出願し、合格したうちの2校から奨学金を出すという申し出を受けた。いきなり国際電話がかかってきて、「1万ドルの無返済のスカラシップを出すから来ないか」と言われた。しかし、その申し出があったのはストーッパー(滑り止め)として受けた西部の学校だったので、断った。妻は「もったいない」と言ったが、やはり、東部の志望校に行かせたかった。
合格して進学を決めたベイツカレッジ(メイン州)からは、奨学金がもらえなかった。そこで妻は、娘がアメリカ留学中、「盆暮れに帰ってくる飛行機代ぐらい稼いであげなくちゃ」とパートに出た。
私の従姉妹の息子は、ブラウン大学から奨学金を支給された。しかし、全額ではなかったので、従姉妹は年間2〜3万ドルは仕送りしていた。だから、ドル円レートが10円でも円高になれば、「よかったわ」とため息をついた。
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