「独身なら時間はたっぷりあるだろう、プライベートの充実なんて考えずにひたすら働きなさい」ともとれる発言は、今イチ上司のうっかり発言だったとしてもかばいきれるものではありません。もしかしたら、「最近の若いヤツはどうして仕事に没頭しないんだ?」と思ったり、「まだ予定もないのに、結婚や育児との両立のことなんか考えるのはおかしい」くらいのことを考えていたりしたかもしれないですね。営業かスタッフか、といった問題以前に、会社として従業員満足への興味が低く、長時間労働やハラスメントなどの発生リスクが高い組織の匂いがします。両立問題とは別に、転職を考えるのもありかもしれません。
一方で、営業とスタッフ、どちらの仕事がプライベートと両立しやすいかについては、これは一概には言えません。企業、組織風土、商品・サービスや営業スタイルなどにより業務の進め方はまったく違いますから、比較のしようがないのですが、一般論としては「スタッフのほうがプライベートと両立しやすい」と思っている人が多いように感じます。また、「顧客の言うことがすべて」を実践する営業スタイルがあるべき姿だと信じている企業も多くあるでしょう。夜遅く、あるいは休日にもメールや電話が追いかけてくる、と話す営業もたくさんいますから、あなたが「これではプライベートがない」と感じてしまうのもわかります。
営業職のときはスタッフ職が魅力的に見えた
私は会社員時代に、営業職もスタッフ職も経験したことがあります。営業を8年やった後のスタッフ職への異動だったのですが、その8年間はスタッフ職への憧れも持っていましたし、長い間仕事をしてきて、オフィスワーク職が魅力的に見えたことも幾度となくあります。
就活のときだって、一般職か総合職かかなり迷いました。そして、自分は選ばなかったオフィスワーク職に就いている友達がキラキラして見えるのに対し、一日中外回りをしてぐったりした顔の自分が惨めに思えたことが何度あったことでしょう。営業なんて「やったほうがいいこと」が山積みの仕事だ、どこまでやればいいんだ!と思ったことだって数知れず。だから、あなたの考えを一方的に否定するつもりはまったくありません。
そして実際に、管理職時代には、妊娠した女性営業メンバーから、「復職時にはスタッフになりたい」と言われたことが何度もありました。あなたのように、将来を見越してスタッフへの異動や転職を考える若手女性、さらには「オフィスワーク業務でないとワーク・ライフ・バランスが保てないと思う」と言う女子学生にも、たくさん会いました。彼女たちと話していると、もちろん共感できる部分はあります。けれど、経験から言うと、「スタッフ職って、生半可じゃないよ?」というのが実感なのです。
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