人望のない人は「たった一言」が添えられない ビジネスで好まれる話し方と頼み方のコツ

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職場では、ホウレンソウなどの事務的なやり取りだけでなく、褒める、礼を言う、謝るといった「感情に訴えて話す」場面もあります。

これまで紹介した社会人用語が自分の身を守る盾だとすれば、感情に訴えて話す言葉は相手の懐に飛び込んで心を貫く、矛のような言葉。実はこのとき投げかける一言で、世間話を何時間と続けるよりはるかに効率的に、一瞬で相手の気持ちをグッと引き寄せることができるのです。

相手の気持ちを引き寄せる「すごい一言」の例

そんな「すごい一言」の例をいくつかご紹介しましょう。

〇仕事相手にお礼を言うとき

「ありがとうございました」

の後に

「〇〇さんにお願いして本当によかったです!」

〇上司や取引先の力量をほめるとき

「すばらしいですね」

の後に

「何かコツがあるんですか?」

〇上司にミスを謝るとき

「申し訳ございません」

の後に

「すぐに〇〇するように改めます」

『できる大人が使っている社会人用語ハンドブック』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

いかがでしょうか。「ありがとうございます」や「申し訳ございません」といった“いつもの言葉”に、たった一言“感想をプラス”するだけで、見違えるほど血の通った言葉になるのが感じられると思います。

通り一遍の儀礼的な言葉は、言い換えれば「誰でも言える言葉」。それだけでは相手の心は動かないどころか、「うわべだけで話しているな」と軽薄に感じられ、不快感を覚えられることすらあるでしょう。

逆に感想は、その人の本音そのもの。建前の多いビジネス上の会話だからこそ、本音の感想は深く相手の胸を打つのです。

「人の心を動かす」とは、自分の意のままに相手を操ることではありません。どんなときも共通して不可欠なのは「あなたを信頼しています、大切に思っています」という気持ちを言葉や態度で示すこと。相手の気持ちを受け止めようとする努力が、感謝や歓心といった感情を引き寄せる引力となり、やがて人の心を動かすのです。

今井 登茂子 コミュニケーション教室「ともこ塾」主宰/元TBSアナウンサー

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いまい ともこ / Tomoko Imai

東京都生まれ。TBSテレビでアナウンサーとして音楽番組から報道、スポーツ番組と第一線で活躍。初代お天気お姉さんとして視聴率40%を記録。また、TBSラジオの看板番組『キユーピー・バックグラウンド・ミュージック』を27年間担当してきた功績などから、1988年には「ゴールデンマイク」賞を受賞。退社後、株式会社TJコミュニケーションズ「とも子塾」を設立、伊藤忠テクノソリューションズ、資生堂、東芝、丸井、ミキモト、モスフードサービス、ワコール、オール日本スーパーマーケット協会、全国地方銀行協会、など多数の大手企業、団体の人材育成に携わる。新聞・雑誌で連載を執筆するほか、著書多数。

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