交渉ベタな人は丸くおさめる方法を知らない

「相手に勝たない」からこそ、うまくいく

頭のいい人はケンカをしません(写真:IYO / PIXTA)

人生は交渉の連続

あなたは、日常どのくらいの頻度で「交渉」をしていますか?

交渉と聞くと大げさなことに感じるかもしれませんが、同僚や部下に仕事を依頼したり、自社の商品やサービスを売り込んだり、クレームに対応したりなどといったビジネスの現場だけでなく、家事を頼んだり、小遣いアップを打診したりなどプライベートの現場でも、人生は交渉の連続です。

そんな交渉をうまく進めるにはどうしたらいいでしょうか。書店に行くと「交渉術」について書かれた本はたくさんあります。これらの本の多くは「ハーバード流」とか「ユダヤ式」といった欧米流の思想や発想をベースに書かれています。その基本は対決であり、戦いです。「相手を出し抜くテクニック」を堂々と教えていますし、ユダヤ式では「人はつねに醒めた合理主義者であれ」と説いています。

しかし、相手を打ち負かして自分だけが勝つ交渉は、本当にいい交渉ではありません。拙著『本当に賢い人の丸くおさめる交渉術』でも述べていますが、それは相手の恨みを買ってしまうからです。

弁護士として若いころ、裁判で勝利を重ね、ひとり悦に入っていた私は、ある日クライアントがあまり喜んでいないことに気づきました。裁判で勝っても相手の恨みを買うと、全面解決とならず、いがみ合いが続いてしまい、報復合戦の危険すらあったのです。クライアントが離れていく事態に私は悩み、本当に賢い人は、目の前の争いに勝つためだけに、“ケンカ”をしないことに気づきました。

その後、トラブルの解決は裁判を起こして勝訴することを目指すのではなく、話し合いでスピーディーに解決することを基本方針としました。すると以前に比べて、クライアントからも信頼されるようになったのです。

次ページ日本人には「丸くおさめる交渉」が合っている
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