交渉ベタな人は丸くおさめる方法を知らない 「相手に勝たない」からこそ、うまくいく
「あなたが勝つ」ということは、「相手が負ける」ということを意味します。交渉相手が、お客の場合もあれば、取引先、下請け先の業者の場合もあります。上司や部下といった社内の関係のこともあるでしょう。顔を合わせるのは、今回が最後になるわけではありません。次に顔を合わせたときに相手はこの前の恨みを晴らそうと意地を張りますから、話がうまく進みません。
相手を喜ばせる一言とは?
丸くおさめる交渉は「相手が喜び、自分が得する交渉」です。まず、「相手を喜ばせる」ということは、相手に経済的なメリットを与えるという場合もありますが、必ずしもそれに限るわけではありません。相手に「この取引をして良かったな」とポジティブな感情を持ってもらうことも含みます。
たとえば、来期から材料の仕入れ量を増やすことが決まり、これに伴って原価を下げる取り組みをすることになり、あなたが「仕入れ先から材料の仕入れ値を5%下げてもらう」というミッションをもって交渉を担当したとします。そして、実際に希望どおりの値下げを実現できたとしましょう。
交渉は成功したわけですが、そのときあなたが、
「うちは他にもいくらでも仕入れる先があるんだから5%値下げしないとおたくとは取引しないよ」
などと値下げを強要していたとしたら、相手は
「値下げを無理強いされて、不当な条件を飲まされた」
と思ってしまいます。これでは相手を喜ばせたことになりません。
しかし、あなたが
「御社は当社にとって本当に大切な仕入れ先なんです。これまでは年間10トン程度の取引でしたが、向こう3年間、年間15トン以上仕入れさせていただくことを保証しますから、5%の値下げをお願いできませんか。うちも競争力のある製品を作るために努力しますのでぜひ協力してください。今後とも末永いお付き合いをしたいのでお願いします」
とお願いをしたとしたら、相手も前向きな気持ちで値下げを検討してくれるはずです。
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