交渉ベタな人は丸くおさめる方法を知らない

「相手に勝たない」からこそ、うまくいく

外から見るとどちらのケースも「希望どおりに値下げを実現した」というあなたの会社だけにメリットがあるように見えますが、前のケースでは相手は喜んでいませんし、後のケースでは相手も喜んでいると言えるのです。

相手を喜ばせれば、10年単位でトクをする

どうして交渉でわざわざ相手を喜ばせなければならないのでしょうか。

理由は3つあります。

1つ目は、相手が喜ばない交渉をしてしまうと、決着までに時間がかかってしまうということです。意地の張り合いで互いが自分の主張を譲らないと、月日ばかりが経過していき、その間に別のことをできたかもしれない時間を失ってしまいます。

2つ目の理由は、相手が喜ばない交渉をしてしまうと、相手の恨みを買ってしまうということです。相手を打ち負かし、あなたが「勝利」を手にしてしまうと、相手はあなたに不満を持ちます。「今回は負けたから、次は絶対負けないぞ!」と考えたり、さらには「もう二度とあなたとは取引をしたくない」と思われるかもしれません。

最悪の場合、あなたの会社のことを「あの会社はカネの亡者で最悪だ。みんなも取引しないほうがいいよ」と業界に悪いうわさを流されてしまいます。

3つ目の理由は、相手が喜ぶ交渉をしないと、関係や縁が次につながらないということです。たとえば、あなたの会社のサービスを新しいお客様に導入してもらうにあたり、年間100万円で契約してもらえれば30万円の利益が出るのに、お客様は年間80万円で契約したいと希望しているとしましょう。

この金額では年間10万円しか利益が出ないので儲けが3分の1になってしまいます。ですから強気で交渉して自社の利益を少しでも多く確保したほうがいいようにも思えますが、それは短期的な利益しか見ていないのです。

相手が「いいサービスなのだけどちょっと高すぎる」と考えたとしたら、次の年には継続して契約をしてもらえません。しかし、「すばらしいサービスで価格もリーズナブルだ」と考えてくれたら、契約が10年続くかもしれません。

そうすると年間の利益は10万円に過ぎませんが、10年間では100万円の利益を受けることができるのです。つまり、この例で言えば、今年の利益だけを考えたら強気で価格交渉したほうが自社の利益が大きくなるのですが、10年という長期的なスパンで考えると相手の喜ぶ価格にしたほうが自社の利益も大きいということなのです。

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