「教育困難校」が拡大の一途をたどる根本理由 「勉強は価値がない」という発想が蔓延
先日、ある都立高校を仕事で訪れた。その高校は、以前は地域屈指の「教育困難校」だったが、校長主導で大胆な改革が行われ、短期間で学校の評価が上がったサクセスストーリーで有名な高校である。
改革以前の同校は学力最下層の生徒が仕方なく入る学校で、当然、定員割れが続いていた。入学者の約半数が中退。なんとか卒業にこぎ着けた生徒でも「進路未定者」、つまりフリーターやニートが半数に上るという惨状だった。生徒の服装も当時の典型的なヤンキースタイルで、他校との抗争に明け暮れる生徒も多かった。この高校の周辺の中学校で、進路指導の際に、その中学でナンバーワンのワルと目されていた生徒に「お前の入れる高校はあそこだけだ」と教員が言ったところ、その生徒が「あそこだけはいやだ。怖い」と尻込みしたという伝説が残っているほどだった。
1997年、前任者が病休になり年度途中に赴任してきた校長が敏腕を振るった。当時、大手マスコミがこぞってこの改革を取り上げ、それが知名度と人気を上げる一因にもなる。詳細は省くが、このときの改革を大きくまとめると次のようなものだった。
2. 1年1学期の午後は授業を行わず、作業中心の「総合学習」の時間とする。
3. 制服を、女子に人気が出るようなかわいいデザインの選択制にする。
4. 教員、生徒総動員で校内清掃を徹底する。
5. 入試に面接を導入する。
6. 校長の強いリーダーシップにより教員の意識改革をする。
確かに生徒の実情を踏まえた効果的な改革だったろうと筆者も思う。学力が低い生徒とその保護者は、漠然とした学習よりもわかりやすい目標がある学習分野を好む傾向がある。
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