伊勢丹が飛びついた、最新型O2Oの磁力 素人メディア「tab」が開く新しい世界

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tabの提携パートナー、三越伊勢丹ホールディングス・営業本部グループWEB事業部でWEBメディア担当を務める京樂里奈氏は次のように話す。「誰かの情報によって来店してもらう。『キュレ―ション』という要素に非常に魅かれた。そこに、店舗の位置情報が結びついたサービスだということも大きな価値」。

2012年8月、京樂氏は自ら頓智ドット社を訪れた。tabは地域の活性化にフォーカスしながら、サービスエリアを拡大している(現在、東京、横浜、京阪神の10エリアに対応)。

頓智ドットは六本木エリアに展開する際、六本木ヒルズと提携してプロモーションを組んだ。そうしたtabの動きを追っていた京樂氏は、「新宿へ進出する場合、伊勢丹新宿店と一緒に何かやれないか」と自ら、頓智ドット社に話を持ちかけたのだ。

フェイスブックやTwitterなどと違い、国内サービスという点も大きい。「日本発で、日本人が日本国内の興味や関心事をキュレ―ションする、という新しい領域を実現しているメディア。ここに、共感を覚えた」。三越伊勢丹ホールディングス・営業本部グループWEB事業部企業戦略担当マネージャーの菅沼武氏も言葉を継ぐ。

“素人メディア”による店舗との“偶然の出会い”

現状、多くのO2Oは、クーポン施策が主流となっている。来店効果はあるが、結局のところは価格施策になる。伊勢丹新宿店のような、嗜好性、ファッション性の高い商品、高額商品を扱っている店舗には、クーポンは十分なO2O施策とはいえない。

頓智ドットの谷口社長

「安売り情報やクーポンではなく、本当に伝えたいことを伝えたい。それも企業からの一方的な目線ではない価値。誰かがtabに入れた伊勢丹の商品やイベントがどんどん広がっていき、伊勢丹に行ってみようと思う人が広がる。そういうメディアであればいい。一般の消費者の“人となり”やセンスから共感が広がる“素人のメディア”の価値がそこにある」と菅沼氏は話す。

頓智ドットの谷口氏も、tabで実現したいO2Oについて強調する。

「クーポンやポイントは、サービスとしては本質的ではない。価格は、店舗のアピールポイントのひとつにすぎない。それよりも、本来の店舗の魅力、商品やサービスのこだわりをお客様に共有してもらい、来店していただくという、本質的なところに戻るべき。tabはまさにここに取り組んでいる。ユーザーと店舗とが、継続的に交われるプラットフォーム、再来店につながるサービスにしたい。店舗のブランド価値の向上にもつながる」(谷口氏)。

企業のtabの使い方は、ほぼ一般ユーザーと同じだ。

三越伊勢丹は、伊勢丹新宿店のtab帳を作り、店舗のイベント情報、商品情報を配信する。その情報がたまたま誰かの目に留まって、その人のtab帳に追加される。さらにはフォローしてもらうことを狙う。だが、こんな偶然を狙うような施策に歯がゆさは感じないのだろうか。三越伊勢丹の京樂氏は次のように話す。

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