だから親同士の交流というのが盛んです。子どもの学校での様子がわからない親にとって、ほかの親からわが子の様子が聞けるというのはいいことだと思います。コーラスや茶道などのサークルがあります。父親だけで集まる会もあります。今日はお母さんの茶道のサークルがお茶の練習をしています。ちょっと見ていってください。
そういうと校舎の一角にある和室に案内してくれた。中をのぞくと、母親たちが懇親会の真っ最中だった。「先生も一服どうぞ」の声に誘われて、校長と教頭の清水先生もお茶をたてていた。「先生と親の距離が近い」とひとりの母親が教えてくれた。特に東大寺には兄弟で入学したり、中には親子で通う家庭もあるのだという。校長先生とその息子さんも東大寺出身だという。
校長が生徒にする”ちょっとええ話”
――何か課題はありますか。
課題と言うよりも、生徒たちにはもうちょっと東大寺の仏教的な価値観に触れてほしいと思います。生徒たちには東大寺創建の話をします。聖武天皇の東大寺建立の精神はひとつ、「共栄」です。動物も植物もことごとく栄えるということです。そういう世界を目指して大仏を作りたい。だから力を貸してほしい。そうやって当時の国民の半分にも当たる260万人もの人が心を寄せて大仏を作り上げたのです。
――………いい話ですっ!
ええやろ!? でもそれがわかるんは10年後か20年後かもしれん。でも生徒の心のどこかに引っかかっていたらええな、とは思います。でもたまに寝てる生徒がおるんです笑。
――自由な校風で育った生徒は、後々、社会に出るときになんか苦労すると聞きますが。
そういう話はあまり聞きませんね。京大の教授と話をしますが、「東大寺の生徒はまだ伸びしろがある。燃え尽き症候群が少ないね」と言われます。それにこのままの校風で京大に行くこともあって、京大では「新しい風を入れてくれてる」とおっしゃってくれます。ありがたいことですね。
(撮影:ヒラオカスタジオ)
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