「開成にできないことを!」渋谷教育学園の挑戦 渋谷教育学園 田村哲夫校長に聞く

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独特の教育で注目を集めるのが渋谷教育学園だ。1983年創立と歴史は浅いが、大学合格実績は目覚ましい。東大、医学部合格者数ともに、御三家と比較しても遜色ない。だが、人気の要因は別のところにあるようだ。自身も創立者であり、渋谷教育学園渋谷校、幕張校の二校の校長を務める田村哲夫校長に話を聞いた。

――大学合格実績なども躍進していますね。事実、人気も非常にあります。では、どういうところに秘訣があるのでしょうか。

渋谷教育学園が強いのは英語教育でしょう。幕張校からは東大に61人、医学部にも68人が合格していますが、特筆すべきは、海外への合格実績だと思っています。今年は現役で45人(一般生21、帰国生24)が海外大学の学部に合格することができました。

その中核を成すのが、帰国生クラスです。その授業ではアメリカの大学の授業を意識した内容です。もちろん先生はネイティブで、授業の内容も板書はほとんどなく、ディスカッション重視です。

現在、授業で取り上げているのが、シリアの問題です。生徒達は各国の大使になった設定で国連安全保障理事会に出席して、どのような答弁をするのか、それぞれの国の置かれた立場を考えてレポートにまとめてプレゼンしてもらいます。

世界情勢を論じるわけですから、ひとつの正解なんてありません。ですから、先生からも一方的な知識の詰め込みはしません。ただヒントを出すだけで、とにかく考えさせることを中心にしています。

実際に授業を見せてもらった。「シリアの内戦の問題はどこにあるんだろう」「中東和平のために国連安保理はどういう手段を講じるべきだろう」。ネイティブの教師は板書をすることもなく生徒に問い掛ける。生徒たちは時折、メモを取る程度。中には腕を組んでじっと目を閉じている生徒もいる。だが、ひとりの生徒が中東の情勢に対しいて意見を述べると、皆、堰を切ったようにそれに対して反論、一方も負けじと、再び反論――。
それを先生はうれしそうに見ているだけ。もちろん、議論はすべて英語だ。ここは日本の学校なのか。“驚異的な子供たち”のやり取りを、ただ、見ていることしかできない。
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