「積極採用企業」は、何を重視しているのか アルバイトが採用ルートになる業種も

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また、資材調達や用地買収、店舗開発がどう行われているのかなど、会社の仕組み全体を伝えるインターンシップに切り替えている企業もあります。

たとえ1日でも、手間をかけてインターンシップを実施するのは、自分から動いて参加し、時間をかけて企業と向き合おうという、意志のある学生との接点になっているからです。

企業の全体像を理解してもらって、入社することになったら、早く長期的な戦力になる人に育ってほしいと考えているのです。実際に、採用者のうち10~15%がその企業でのインターンシップ経験者というケースが多いようです。

土日に働く実態を率直に見てもらう

企業の採用活動の支援を通じて私が実感しているのは、都合の悪い事実も、学生が後ろ向きにとらえそうなことも、率直に伝える企業が増えていることです。

たとえばある企業では、休みが土日ではなく平日であることを、マイナス材料ではないかと懸念しながら説明していました。しかし今では、社員が地域の経済を支えているとの誇りをもって土日に勤務し、平日休みという条件の中でワークライフバランスのとれた時間を送っていることを伝えています。

かつて離職率が高かったことやサービス残業があったことを、質問で聞かれる前に開示する企業も増えています。離職率などが改善し、環境が整い始めているから公にできるのでしょう。

ただし、残業時間などは、一気に改善できるものではありません。残業を制限しすぎれば、稼働時間が減ることで顧客満足度の低下を招きかねず、結果として業績が下がってしまうこともありえます。

企業はCSとESを兼ね備えるための制度や仕組みを整えていこうとしています。今は働き方改革の途上です。就活中の学生からは「一体どの会社がCSとESの両立に本気なのか」はわかりにくいことでしょう。

そんな皆さんにヒントを差し上げます。そうした企業の意志や取り組みが語られているのが社内報なのです。就活中に気になる会社を見つけたものの、働き方の実態には不安があるという状況に陥ったら、社内報を見せてもらってはいかがでしょうか。企業の変わろうとする兆しを知ることができる方法の1つだと思います。

これから就活をされる皆さんには、先入観にとらわれるのではなく、自分で直接見たり話を聞いたりして、面白いな、いいなと感じたことを大事にして、選択肢を広げたり深めたりしてほしいです。机上の説明会だけではわからないこともあります。信じられる情報を自分で獲得して、納得感のある就活をしていただきたい。

仕事で思うようにいかないことがあっても、納得して自分で選んだ会社かどうかで、その後の頑張りや乗り越えるパワーが違ってきます。企業も情報を積極的に開示して、お互いが納得ある採用活動をし、入った人を大事に育てたいと思っています。まず行動して自分で知ることを始めてみてください。

大貫 聡一郎 リクルートキャリア 新卒メディア営業統括部 営業2部部長

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おおぬき そういちろう / Souichirou Onuki

98年入社。以来一貫して大手企業の採用活動支援を担当。現在は年間30名以上の新卒採用をしている企業群を中心に首都圏の500社をはじめ、東名阪の都市圏の企業の採用活動をサポート。

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