中島義道氏への人生相談はこちら

今回、東洋経済新報社の「人生相談」を担当することになりましたが、それぞれの人生はかけがえのないものであって、他人の人生訓は基本的に役立たないと確信している自分がなぜ引き受けたのか、このあたりからお話することにしましょう。
人生相談を始める前に…
私より苦しかった青春、貧しかった青春、さらには絶望的だった青春、死の瀬戸際を歩んだ青春などはあるかもしれませんが、私ほど迷いに迷った青春を過ごした人を(寡聞にして)私は知りません。18歳にしてどうにか東文Ⅰに受かりはしたものの、その興奮が冷めてみると、いったい自分は何をしたいのか、皆目わからなくなりました。
それと同時に、小学生低学年の頃から私を震え上がらせていた「死」の恐怖が、獰猛な動物のように――受験勉強中はうまく手なずけていたのに――再び、私の体内で暴れ始めたのです。
何をしてもどうせ死んでしまうのだ!
そして、その後は永遠の無なのだ!
だとしたら、どうして生きる意味があろう。


















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