哲学者が薦める「いい人」に嫌われる生き方

信念は傷を負うから価値がある!

獣や魚がどうなのかは知らない。だが古今東西、老若男女、人が悩み、迷うのは確か。“戦う哲学 者”中島義道氏が開く人生相談道場に“同情”はない。ここにあるのは、感受性においてつねにマイノリティーに属してきた中島氏が壮絶な人生経験を通じて得 た、ごまかしも容赦もない「ほんとうのこと」のみ。“みんな”の生きている無難な世界とは違う哲学の世界からの助言に、開眼するも、絶望するも、あなた次第である。

※中島義道氏への人生相談はこちらから

【Vol.2】いい人に腹が立ちます どうすれば人に優しくなれるのでしょうか?
中島義道さんの著作はよく拝読しています。中島さんは、よく作中で、普通に善良に生きている人たちほど邪悪なものはない、といった趣旨のことを発言されますが、私も似たような思いがあり、そういう人を見かけるたびに、無駄な義憤に駆られてしまいます。
自分がいい人だと信じている人に腹が立ち、自分には順風満帆な将来が約束されていると信じている人にも腹が立ちます。根本にこういう思いがあるので、友達と深いところでの共感ができません。人の意見を聞いても、なにかが違うと思ってしまいます。
私が頑固で、極端に心が狭いせいで、そうやって人を裁いてしまうだろうな、ということはよくよく理解しているのですが、どうしてもやめられません。人が苦しんでいるときに、一緒に苦しめるような人になりたいのですが無理です。私は、苦しいことはだいたい環境ではなく自分の中から出てきたので、人の悩み事を聞いてもあんまり共感できないのです。
でも、私はそんなに変わり者というわけじゃないし、そこまで深い哲学的こだわりもないし、普通の人間です。こういうところが中途半端で嫌だなぁと思います。人に対して優しくなりたいのですが、どういう考え方をすれば優しくなれるでしょうか?(20代前半、女性、大学生)

今回は、たいへん難しいテーマです。まさに、私が小学生のときから還暦まで「どうしたらいいのか」と考え続け、悩まされ続けてきた問題でもあります。だから、腰を落ち着けてしっかり答えようと思います。ご相談はいくつかのポイントから成っているように思われます。

(1)「自分がいい人だと信じている人」や「自分に順風満帆な将来が約束されていると信じている人」に腹が立つ。

(2)そのため(か)他人と共感ができない。

(3)こうした頑固な自分が嫌なのだが、変えることができない(が変えたい)。

私もこれまでの人生で強く実感するのは、ほとんどの人が「自分がいい人だと信じている」ことです。お話にある「自分に順風満帆な将来が約束されていると信じている人」は、あなたの年齢では「許せない!」と思うかもしれませんが、しばらく経つと自然にそうであるかないかはわかりますから、放っておきましょう。

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