獣や魚がどうなのかは知らない。だが古今東西、老若男女、人が悩み、迷うのは確か。“戦う哲学者”中島義道氏が開く人生相談道場に “同情”はない。ここにあるのは、感受性においてつねにマイノリティに属してきた中島氏が、壮絶な人生経験を通じて得た、ごまかしも容赦もない「ほんとうのこと」のみ。“みんな”の生きている無難な世界とは違う哲学の世界からの助言に、開眼するも、絶望するも、あなた次第である。
【Vol.14】 低学歴でも世間から知的に評価されたい
今回の回答はとても簡単です。「学歴(学力)の低い人間が世間から知的に評価されるためには、どうするのが得策ないし早道なのでしょうか」というご質問、しかもそのための努力はしてこなかった(したくない)という質問ですが、「得策ないし早道」がないどころか、いかなる方法もありません。これは、体力もなく、運動神経も鈍く、かつ努力もしなかったのに、オリンピックに出場するにはどうしたらいいか、という質問と同じく、絶対にいかなる方法もないのです。ご両親に「よくもこんな馬鹿に生んでくれたな」と八つ当たりしてもしょうがありません。あなたのご両親も、「馬鹿に生もうとして」あなたを生んだのではないのですから。「大学のランクがまるで向上していないことにわれながらあきれて」も仕方ありません。あなたは、そのランクの大学にしか合格できなかったのですから。
あなたのいらだちはわかりますが、問題は、2つあるような気がします。第1に、あなたが、「知的な側面で評価されたいという身の程知らずな欲望」を持っていること。第2に、それにもかかわらず、努力してこなかったこと。もっとも、各人の才能には差異がありますから、どんなに努力してもダメかもしれませんがね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら