「バイオハザード」監督が語る完結までの14年 「これを観ると一作目を見直したくなる」

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――今回のようにローラを起用したり、さらには過去のシリーズで渋谷のスクランブル交差点が登場したりと、日本マーケットを意識した作品作りをしているように思います。日本では『バイオハザード』シリーズの人気が非常に高いですが、作品作りに日本のマーケットを意識することはあるのでしょうか?

この作品はもともと日本をルーツとしている作品だけど、だからといって無理やり日本の要素を盛り込んでいるわけではない。僕は本当に日本のことが好きだし、親近感がある。

それこそ「バイオハザード」のゲームが好きになったのは偶然じゃない。僕は監督になる前から『鉄男 TETSUO』や『鉄男II BODY HAMMER 』といった日本の映画や、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』や『AKIRA』といったアニメも大好きだった。きっと僕の映画を観てもらえれば、ここはあの作品にオマージュを捧げているんだな、と分かってもらえると思う。最初に僕が監督した『ショッピング』という映画なんて、イギリスよりも日本の方が高い興行収入を記録した。相性がいいというか、日本が好きなのはそんな理由もある。

ゲーム版は安藤忠雄の影響を受けている

タレント・モデルのローラも女戦士・コバルト役で出演 (写真:配給会社提供)

――「バイオハザード」も日本のゲームですからね。

このシリーズを始めるにあたってカプコンの本社に行き、映画のビジョンを語ったことがあった。その時はスーツケースを2つ用意して、その中に本を詰め込んで帰った。そこには建築の本なんかも入れていった。特に「バイオハザード」というのは明らかに安藤忠雄の建築に色濃く影響を受けている。彼が作った教会や建物、アートギャラリーを見ると、「バイオハザード」がいかにインスパイアしているデザインかが分かる。だからそういう本をスーツケースいっぱいにするくらいに買って帰ったんだ。

日本に来るたびに日本の要素を吸収して、映画に反映させている。それは自分にとっては本当に自然の流れだった。『バイオハザード IV アフターライフ』には渋谷の町が出てきたが、あれはシリーズの中でも一番お気に入りのシーンだといっても過言ではない。渋谷の街というのは、とにかく圧倒されるんだよ。これを映画に登場させない理由がない。東京が他の街並みと変わらない街だったら、あえてそういうことはしなかったと思う。

――近年、ハリウッドは中国市場に意識を向いているわけですが、アジア市場というのはどう見ていますか。

確かに中国というのはビッグマーケットだけど、かつてはハリウッドがビッグマーケットだった。ものごとは変化していくもの。そういう中で僕らが意識することは、その作品にふさわしい要素を盛り込むこと。もちろん『バイオハザード』もそうしている。

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