――なぜMBAを取ろうと思ったのでしょうか。
イギリスの映画産業というものがいまいち成熟していないとうことに不満を感じていたから。今の時代、映画を作るにはファイナンスの知識が必要だと感じたんだ。
――MBA取得によって得た知識は、映画作りにどのように役にたっているのでしょうか。
MBAの知識がどこに役立ったか、ピンポイントでは言えないけど、自分が重要な場面で下してきた判断には影響があったと思う。そもそもプロデューサーになろうと思った理由は、自分で運命を切り開きたかったから。ヨーロッパは作り手主義なので、監督の意向が最優先される世界だけど、アメリカだと7番手くらいになる(笑)。
まず映画スターがいて、製作総指揮の人がいて、プロデューサーがいて、監督はさらにその下の立場という感じ。だから多くのヨーロッパの監督は、そんなハリウッドのシステムを嫌って規模は小さくてもナンバーワンでありたいと思う。でも僕はハリウッドが大好きなので、だったらプロデューサーになろうかなと思ったんだ。
映画はなにより”数字”が大事
――プロデューサーなら、より自分がやりたいことができる?
そう。ハリウッドで最初に監督した作品は、予算も知らされていなかった。その時、もう少しちゃんと全体像を把握した方がしっかりとした判断ができるのにと思った。「ヘリを使うべきか」「クレーンを使うべきか」あるいは「カメラマンに我慢してもらって、はしごに登ってもらうべきか」。予算の配分が分かっていれば、その枠内で自分が何をすべきか分かるし、演出をコントロールできる。
自分がプロデューサーの知識を持つということは本当に大事なこと。だから僕はしょっちゅう予算表を見たり、数字とにらめっこしたりしている。多くの人は、監督がそんなことをするなんて想像がつかないと思うけど、映画は産業なので、批評家から評価を得ても資金を回収できなかったら次の作品はない。それくらい数字というのは大事なことなんだよ。
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