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縁だと思ったから
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お茶か。うん、ありがとう。もう三時か。
そやな、この庭は、わしに縁があったんやな。最初な、ある人から話があってな、見にきたんやけど、少し荒れ果てておったな。
お化け屋敷?そういう感じもあったな。そのときは、わしもあまり気がすすまんかったから、ま、ええと。買わんと。そうしたんやけどな。数年してたらまた、どうですかといってきた。わしはそのとき、この庭は、わしに縁があるのかなあと、思ったんや。
そうやろ。わしが、一度断ってからそれまで、いろいろな人に声をかけておったんやろう、あたりまえやな。それでもだれも買わなんだ。そして巡り巡って、また、わしのところにきた。どうでしょうかと。
それで、そういうことなら買おうと。もう、そのときは、いいも悪いもないな。縁だと思ったからな。それで決めたんや。
いまから思えば、買うてよかったな。それから、前にも言うたけど、多少手を入れた。木を入れ替えたり、白砂を入れたりな。まあ、調和のとれた、美しい庭になったな。そやな。絵に描いたような庭やな。
以前、ある有名な画家の先生に、この家に掛ける絵をお願いしたことがあるけど、ここに掛ける絵なら描けませんと。ここでは、どんな絵でも、この庭の景色には負けますと。そう言われたことがあったな。実際にそやなあ。さすが絵の大家やと思ったわ。それでもとお願いしたら、墨絵のような大作を描いてくれたな。ああ、あそこに掛かっている絵やね。
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