AI時代が到来!将棋も産業もこう激変する 羽生善治vs松尾豊「鍵はディープラーニング」
将棋の大局観のようなアプローチも
――英ディープマインドが開発した「アルファ碁」がイ・セドル九段を4勝1敗と圧倒しました。
羽生:読みに関しての無駄の省き方というか、引き算としての洗練のさせ方、将棋でいうと大局観のような人間的なアプローチが急速に進歩していますね。以前の計算量で、精度の低さをカバーするといった足し算の世界とは変わったと感じました。
ただ、人間でもAIでも、正しく一つの局面を評価することは最も難しいのです。人間のプロ同士でも見解は分かれ、お互いの正しさを競い合っているような面があります。AIのプログラムの間でも、同じ局面に対して、評価関数がプラス100になるものもあれば、マイナス100になるものもあるように、バラツキがあります。
松尾:イ・セドル戦当時のアルファ碁は、状態がよいか悪いか、今だったらどの手がよいかを、膨大なデータを元に計算できるようになっていました。
ですが、もう少し大ざっぱに、「この後、こう行って、こうなったら勝つんじゃないか」という思考は入っていなかったと思います。そのような、状態と行動の特徴認識をできるようになれば、羽生さんの言われる大局観につながっていくはずだと思います。ただし、その際は人間の大局観をどう定義するか、ということが問題になるでしょう。たとえば今、2勝しているから、ここはちょっとチャレンジしてよいだろうとか、もっと大きなフレームが必要になるかもしれません。
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