マツダと松井証券の最新決算を分析する アベノミクスで潤う自動車と証券業界

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次に、貸借対照表(同9~10ページ)を見ていきます。会社の中長期的な安全性を示す「自己資本比率(=純資産÷資産)」は、13.2%。安全水域ではありますが、比較的低い水準ですね。金融業界は、総じて自己資本比率が低い傾向にあるのです。扱っているものが「おカネ」ですから、金融業の場合には、比較的自己資本比率が低くても、安全性に問題のないことが多いのです。

では、有利子負債はどのくらい抱えているのでしょうか。「短期借入金」は、1375億円。前期の565億円から大幅に増えています。これは、金融市場が活況を取り戻したことで信用取引が急増したため、取引の際に必要な「信用取引貸付金」を増やしたのです。ただし、全体の流動負債(1年以内に返さなければならないおカネ)の額から考えると、割合的にそれほど大きくはありません。「長期借入金」のほうは、ゼロとなっていますね。

流動負債の返済能力をみるための指標「流動比率(=流動資産÷流動負債)」を計算してみますと、114%。この指標は、流動負債より流動資産のほうが多いかどうか、つまり、100%を超えているかどうかが、当面の資金繰りが可能かどうかの判断基準となります。松井証券は114%ですから、金融業ということを考えれば、短期的には安全だと言えます。

せっかくですので、松井証券の貸借対照表をもう少し詳細に見ておきますと、金融業界独特の特徴がいくつか見られます。金融業界は、利用者からの預かり金が多いために、流動負債が多いのです。松井証券のバランスシートにも、「顧客からの預かり金」が1460億円も計上されていますね。これは、負債といっても、銀行などからの借入金とは性質の違うものです。

また、「資産の部」にも「預託金」が3001億円計上されています。これは大きな額ですね。証券会社における預託金とは、証券会社が、資金決済のために預けている資金のことです。「信用取引貸付金」も2484億円と大きな額になっています。

次回は、アベノミクスの恩恵にあずかれなかった業種の分析を行います。アベノミクスによって全体的に景気が浮揚してきた印象を受けますが、すべての業種がその好影響を受けているとは限らないのです。(次回につづく)

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