北米での売り上げが増えた背景には、米国景気が底堅さを増していることがあります。サブプライムショックによって傷んでしまった家計のバランスシートがようやく回復してきたことから、自動車や住宅などの耐久消費財が伸びているのです。
米国の「自動車販売」(右表)を見ますと、昨年11月に年率1500万台ペースまで回復し、以降も高水準を保っています。これは米国自動車産業が巡航速度に乗ったとみていいでしょう。
一方、国内での販売が落ち込んだ理由は、特に昨年4月から12月まで景気が低迷していたことが原因だと考えられます。給与の源泉である名目GDPも、その間ずっとマイナス成長が続いていましたからね。円安とアベノミクスの影響から景気回復が期待されていますが、国内ではまだ、その好影響が明確に出ているわけではないのです。
「営業利益」も改善しています。前々期は387億円の営業損失となっていたのが、前期は539億円の利益を出しました。最終利益である「純利益または純損失」も、前々期は552億円の損失でしたが、前期は391億円の利益を出していますね。これは大幅アップと言えるでしょう。
以上のことを総合してみますと、円安や米国景気の回復によってマツダは増収増益となり、アベノミクスの恩恵を享受したことは間違いありません。
その結果、利益の蓄積である「利益剰余金」もマイナス887億円からマイナス462億円とマイナス幅が減少しました。会社の中長期的な安全性を示す「自己資本比率」も、もともと低いわけではありませんが、24.8%から25.9%まで改善しています。
マツダは今回の決算について「今期は救われた」と感じているのではないでしょうか。今期も増収増益を見込んでいることから、しばらくアベノミクスによる円安効果が続くと考えているのだと思います。
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