任天堂と資生堂の決算を分析する アベノミクスの波に乗れなかった、残念企業たち

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前回、アベノミクスの恩恵を受け業績を回復させた代表として、自動車業界(マツダ)と証券業界(松井証券)の決算内容を分析しました。その一方で、残念ながら、アベノミクスの波に乗れなかった企業もあります。今回は、業績が思わしくなかった企業のうち、任天堂と資生堂の2013年3月期決算を分析していきます。

本業の落ち込みが止まらない任天堂の決算

まずは、任天堂の2013年3月期決算から見ていきましょう。

任天堂の時代はもう来ないのか(岩田聡社長、撮影:梅谷 秀司)

収益性を調べるため、損益計算書に注目してください。「売上高」は、前々期の6476億円から前期は6354億円まで微減となっています。一方、「売上原価(販売した商品やサービスについて、仕入れや生産活動に要した費用)」は、4939億円から4950億円まで増えていますね。売上高減少に合わせて売上原価を十分には落とせない状態になっています(任天堂の損益計算書、決算短信の8ページを参照)。

そこで、任天堂は「販売費及び一般管理費」を抑えようとしました。前々期の1909億円から、前期は1767億円まで減らしています。結構大幅な減少です。「販売費及び一般管理費(販管費)」とは、売上原価以外の費用で、たとえば、営業にかかった費用や広告費、会社を運営するための本部の費用などのことです。この数値が低いほど、販売管理コストが低いということであり、企業努力によって下げることができる数字なのです。

確かに、ここ最近、任天堂のテレビCMをあまり見掛けなくなった感があります。販管費の中でも、特に広告費を削減している可能性があります。

販管費を抑えたおかげで、「営業損失」が前々期の373億円から、前期は364億円まで微減となりました。しかし、本業の調子が悪いことには変わりありません。

次に注目していただきたいのは、「経常利益又は経常損失」です。前々期は608億円の損失となっていましたが、前期は104億円の利益を確保しています。前期は業績が奮わなかったにもかかわらず、なぜ、この数字が大幅に改善しているのでしょうか。

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