5月23日の大暴落後も、暴落が予想以上に続き、トータルで、株価はかなり下がっている。
私は、現在の日銀の異次元の金融緩和に強く反対している。そうなると、週刊誌などは、この株価暴落に飛びついて、私に、「アベノミクスの破綻」が起きましたね!とインタビューを求めてくる。当然、私が得意げにアベノミクス批判を展開すると、彼らは期待して、私の研究室にやってくる。
暴落=アベノミクスの失敗ではない
しかし、私は、「いえ、これはアベノミクスとは直接関係ありません。暴落は、アベノミクスの失敗を表しているのではなく、暴騰したから下がったのです」と答える。彼らは、戸惑い、落胆して帰っていく。
株価は、なぜ暴落したか。それは、その前に株価が上がっていたからである。上がらないものは下がらない。このトートロジーのような事実がバブルの本質だ。上がるのに、理由がなくあがったのだから、下がるのにも理由はない。
株価の暴落ではっきりしたのは、まず、現在の株式市場がバブルであることである。そして、投資家達は、現在がバブルであることを認識している。バブルと分かっているからこそ、投資しているのだ。
この点に関しては、株価が大きく下落したこと、その下げ幅や、下落後の日経平均の水準が問題なのではない。下落の仕方が問題だ。5月23日は、日経平均が一日で1143円下がったと言われているが、その日は、前日から比べると大きく上げで始まり、その後暴落した。さらに、夜間の先物取引では大幅下落継続だったから、先物の幅を見ると2000円も動いている。一日で2000円動くと言うのは、何か事件が起きないとあり得ない。リーマンショックよりも大きく、震災よりも大きかったのだ。そして、その日は何も起きていなかった。
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