株価暴落は、いつ止まるのか? ヘッジファンドは、いま何を考えているのか

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いったん傷ついたバブルは長続きしない

個人的な予想としては、今後、暴落は止まり、株価は反転、また継続的に上昇していくと思う。この予想自体は重要でない。考え方が重要だ。つまり、多くの投資家がやりたいこと、つまり、買いたいか売りたいか、それを見極めつつ、投資家たちが一番やられたくない、起きて欲しくないことを、起こすことによって、動揺させ、投売りをさせ、買いに飛びつかせるのだ。

だから、もう間もなく、売りで仕掛けるのでなく、買いで仕掛けるだろう。急に反転して、買い損ねているとあせって飛びついて買う人たちが出てくるだろうからだ。

これは、米国株式市場が崩れないという前提がある。今回の暴落は、日本だけが上がりすぎたから、日本だけのバブルで、日本だけが崩れているから、ここで議論したことも、日本の市場内部だけの議論となっている。ここに、世界の流れがかぶされば、それもリスクオフの流れであれば、日本市場は大きく下落するだろう。

一方、米国市場が崩れなければ、今後は、日本では買戻しの流れが出来るだろう。しかし、中期的には、これは持続しない。

なぜなら、いったん傷ついたバブルは、それほど長持ちはしないからだ。今回の暴落で懲りた投資家達は、これまでのように、何も考えずにとにかく強気、というわけには行かないだろう。また、これから、とことん買ってくる海外投資家もいないと思われる。むしろ、彼らのうち、今回のピークで売り損ねた投資家達が、次の売り場を待っている。したがって、今後、戻り相場となり、大きく上げた後、調整局面に入れば、そのときが、本当にバブルが終焉するときとなるだろう。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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