物価目標2%達成なら、銀行は大ピンチ

国債価格が下落すればメガバンクの含み損は2兆円超

安倍政権は長期間続いているデフレを脱却させるべく、日銀に「物価目標2%」を設定するよう要求し、日銀も1月の政策決定会合でインフレ目標をそのように設定しました。もちろんデフレ対策は必要です。

しかし、これ以上の金融緩和が本当に有効な手段なのか疑問ですし、もし実際に消費者物価指数が2%に上昇した場合、長期金利が上がって金融不安を招くリスクが大きいのではないかと私は考えています。今回は、三井住友銀行の貸借対照表(バランスシート)を見ながら、「物価目標2%」が実現した場合の金融機関への影響を考えていきます。

物価の上昇は、国債利回りの上昇を引き起こす

もし、現況のまま「物価目標2%」が達成されてしまった場合、どんなことが起こるのでしょうか。注目していただきたいのは、長期金利です。このところの「新発10年国債利回り」は0.8%を切る水準で推移していますが、今後物価が2%に上昇してしまったら、新発国債も2%に近い利回りにしないと発行できなくなってしまいます。もちろん、日銀が長期国債を買いまくって金利を下げることは可能ですが、それはいびつな状態で、経済をおかしくしますし、それを長く続けることは難しいと考えられます。インフレ率に長期国債利回りが近づかないと、投資家たちは、国債ではなくゴールド等の現物資産を買うようになりますからね。

日本政府が抱える負債残高は合計で約1000兆円、普通国債だけでも約700兆円にものぼります。その主な保有者は、全体の約40%が銀行等、約20%が生命保険会社と損害保険会社、約10%が日本銀行で占められています。つまり、日本国債の多くは金融機関が保有しているということです。

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