物価目標2%達成なら、銀行は大ピンチ

国債価格が下落すればメガバンクの含み損は2兆円超

一般的には、利付国債は固定金利型の債券ですから、発行時の金利によってクーポンの額が設定されます。例えば、現在の長期金利が1%としますと、額面金額1万円の1年物国債を購入した場合(※実際には、1年満期の国債は存在しません)、年間100円の利息がつくわけですから、50円のクーポンが2枚付属します。そのクーポンを半年ごとに一枚提出すると50円ずつもらうことができ、満期になると1万円が戻ってくるという仕組みです。ただ、現在は紙で発行されていませんから、それらは電子的に処理されています。

では、国債の価格はどのようにして変動するのでしょうか。新たに発行された国債を新発債と言いますが、それは発行直後に既発債に変わります。それは、株と同じように市場で売買されているのです。

先ほどの例を使いますが、1年満期の利付国債が額面で1万円あったとします。発行時の金利も1%だったとしましょう。この国債が発行された翌日、何らかの理由で市中金利が2%に上昇したとします。国債購入時は1%でしたが、世の中の金利は2%になってしまったわけですから、1%時に発行された既発債は1万円では売れなくなってしまいます。金利が2%になったことで、これから発行される新発債の利息は200円になりますからね。ですから、額面1万円の既発債は9900円程度まで値を下げることとなり、結局、この既発債の利回りもほぼ2%となるのです。

このように市中金利が上昇しますと、既発債は自動的に、そして即座に、市中金利に利回りが合うように値下がりするのです。もちろん、逆に金利が下がれば、既発債の価格は上がります。市中利回りに合うように国債価格も変動するのです。この例は1年債でしたが、もし20枚もクーポンがついている10年債ですと、金利が2%に上昇しただけで、1万円で発行されたものは9000円程度まで値下げしないと売れなくなってしまいます。つまり、既発債を保有している人は、金利上昇時にはこのような仕組みで含み損を抱えることになるのです。

次ページ市中金利の上昇と、既発債の関係を押さえよう
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