話を戻しますと、リクルートは売り上げの半分以上を人材関連で上げ、それ以外の販促支援分野(広告)でも高い利益率を誇っています。広告事業の営業利益率は3割を超えます。リクルートは次々に自社メディアを産み出すことによって収益を上げる会社であり、広告代理店を通さないところに利益率の秘密があります。つまり自社メディアだからこそ広告料はすべて自社に入るのです。
同社はさまざまな生活領域において自社メディアをつくり出し続けていますし、つくり出し続けること自体を企業DNAとしているのでしょう。こうしたDNAを維持し続けられることは極めて珍しく、すばらしいことです。
OBネットワークの価値は「濃度×規模」で決まる
また、リクルートは外部の会社や自社の卒業生を使うことが上手な会社です。ともすれば日本の大企業では辞めた人間を裏切り者扱いしたり、仕事を出したりしない会社が多いですが、リクルートは辞めた人間が現職の人間とも仲良くでき、またリクルート卒業生コミュニティの中で仕事を得ることができる会社だといえます。
銀座や新橋には元リクルートの社員が経営するお店があり、そこでは現役社員とOBやOGが語らう姿が見られ、筆者のような外部の人間にはうらやましいコミュニティとなっています。
企業のOB・OGネットワークを考えた際、その価値は「濃度×規模」で決まります。たとえばコンサルティング会社やロビーイング会社のようなプロフェッショナルファームの場合、小さくても異常に優秀な人間が集まっていれば、そのファーム出身者が大企業をつくったり大統領選挙に出たりします。
一方である程度の規模(人数)があればどこに行っても卒業生がいて、同じようなビジネスバックグラウンドで話をすることができます。こうした共通言語は極めて重要で、ビジネスに対する価値観やだいたいのスキルセットが共有されてビジネスを進めることができるのは便利です。こうした意味で同社は濃度と規模のある企業といえるでしょう。
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