リクルートは極めて珍しい企業
リクルートは売り上げ1兆円を超える巨大企業になっても、社内の新陳代謝がシステマチックにできている日本では極めて珍しい企業です。リクルートは売り上げ成長を続けていますが、二十数年間、従業員数(単体)が増えていないのです。
一般論として企業は大きくなると、創業時、急成長期のアグレッシブさが失われ保守化するものです。創業時であれば創業者の顔やビジョンが一平社員にも見えるものですが、組織が大きくなるにつれ社員の質も変わっていき、大きくて安定してそうだからという理由で入社する人が増えてきます。これは当然のことではありますが、規制などによって守られた業種でなければ、企業は何らかの差別化や新しい価値提案を行っていかなければ成長ができません。
企業が新しいことを産み出していくためには、「小さくいる」ことが非常に重要です。組織のシステムとして、大きくなりすぎたら小さな単位に分割し、権限移譲していく方法以外には、つねに新しいものをつくり出すことはなかなかできません。大きな組織の一部からまったくほかの社員や事業部の「空気を読まない」新しいものをつく出すことは困難です。
たとえば米国テクノロジー系企業では、人材や技術を買うために行う企業買収がありますが、これはマイクロソフトやグーグルなど、大きくなってしまった組織が、周囲のベンチャー企業を研究開発会社として使っているとみることもできます。大きくなった企業が自社内では機動的に新しいものを産み出すことはできないと考え、周囲のベンチャー企業でよいものができたら、人材ごと買って自分のものにしてしまうという考え方です。
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