3000万円の元手で3億円の寄付を集めたNPO 「市民科学者」を育てる、高木基金

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三菱東京UFJ銀行出身の菅波完氏(46)

収支均衡に向け動き出したのは、03年度末のことだ。会員向けの手紙にメッセージを添えた。「みなさんの支援で、助成金はカバーすることができました。ただ、まだ管理費分はまかなえていません」――。

「『足りません、足りません』と繰り返すだけではダメ。『みなさんのおかげで、ここまでは来ました。さらにいくらあれば、これを実現できます』と示し、支援者に目標を共有してもらうことが大事だと思った」(菅波氏)。高木基金では、約3000人いるステークホルダーに対し、過去の寄付履歴などに基づき、きめ細かい対応を行っている。

一人ひとりに合わせたDMを送付

「10100」。会員データベースの「支援パターン」の項目には、こんな暗号めいた数値が並ぶ。これは、過去の寄付履歴を示したデータ。下1ケタが12年度の寄付の有無(「1」は支援あり、「0」は支援なし)を表し、ケタが上がるごとに年度をさかのぼっていく。

これを参考に、年間数回郵送するDMの文面は、「前回は×××××円支援していただきました」「前回支援していただいたのは2010年でした」など、一人ひとりに合わせた内容としている。

「5万円寄付したばかりの人に『カネが足りない、もっと寄付してくれ』と書いた手紙が届いたら、寄付する気をなくす。逆に最近全然寄付してくれていない人に、くどくどと寄付のお願いを書いても仕方ない」と菅波氏は語る。

DMの郵送パターンは、実に20通り。寄付、協力のお礼やお願いをする文面、寄付者に発行する税控除の証明書の有無、過去の寄付履歴の有無など、支援者の特性に応じて内容を変えるからだ。

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