儲かる漁業をつくれ! 元伊藤忠社員の挑戦 新世代リーダー 立花貴 漁師
消費者と直接深くつながる「そだての住人」制度
10月下旬の早朝。立花のいる漁師の会社「オーガッツ」の本拠がある石巻市・雄勝町水浜の作業場では、獲れたばかりのホタテの箱詰め作業が行われていた。「今日は69箱です!よろしくお願いします」。立花の掛け声で作業は始まった。作業はスタッフも含め、3~4人だ。
ホタテから殻をとり、特製の味噌だれに漬けて箱詰めしていく。ホタテは直接味噌をつけるのではなく、ガーゼを敷いた形でホタテと絡ませる。ホタテの肉厚はなかなかのもの。そのまま生で食べるのがおすすめで、軽く炙ってもおいしく食べられるという。
「こうやって絡ませると、じわじわと味噌の味がしみ込むと同時に、ホタテの自然の甘味が生きるんですよ。味噌は仙台のブランド味噌。魚介類と相性が抜群なんです」
これらのホタテの出荷先は、「そだての住人」宛てだ。「そだての住人」とは、ひとことでいえば、オーガッツを支えるオーナー制度のこと。通常の、いわゆる「1口オーナー制度」に近い。1口は1万円。ホタテ、銀鮭のどちらか、または漁師のおまかせ旬コースを選んでもらい、発送する仕組みだ。
カキは2013年冬から、ホヤは14年夏以降の出荷の予定だ。消費者が生産者と直接結び付いており、消費者が、商品ができる前におカネを前払いして、育ったものを受け取るという点では1口オーナー制度と同じだ。立花が自身で車を運転し、東京から連れてきた1000人以上の訪問者に加え、インターネットや口コミで全国から募った結果、これまでに約4500万円が集まった。これが養殖をする元手となっている。
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