東日本大震災被災住民の窮状を見過ごす行政、ボランティアの支援が命綱

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東日本大震災被災住民の窮状を見過ごす行政、ボランティアの支援が命綱

東日本大震災の発生から1年4カ月が過ぎた東北地方の被災地。一人暮らしの高齢者が多く住む仮設住宅では今、ボランティアによる支援が命綱になっている。

宮城県気仙沼市でその役割を担っているのが、個人で活動する村上充さんだ(写真)。気仙沼で生まれ育った村上さんは、ツイッターやフェイスブックを駆使して全国の医療関係者やボランティア団体などとネットワークを構築。仮設住宅の住民から「最も頼りになる人物」(阿部義則・反松公園住宅自治会長)と見なされている。

7月8日午後、市街地から離れた山あいに建設された「市営テニスコート住宅」(通称、牧沢住宅)の集会所で、5月以来、5回目となる医療支援活動が行われた。村上さんの呼びかけで活動に従事したのは神奈川県横浜市で診療所を開業する医師や訪問看護師のボランティアグループ「キャンナス」のメンバー、「face to face 東日本大震災リハビリテーションネットワーク」の理学療法士ら。仮設住宅暮らしで腰痛や関節痛が悪化した高齢者に、はり治療やマッサージが施された。この日の医療支援活動は牧沢住宅を含む市内2カ所の仮設住宅で実施され、50人以上の住民が診察を受けた。

実は村上さん自身も被災者だ。津波で自宅が半壊の被害を受けたことで、2カ月半にわたって避難所生活を余儀なくされた。そして当時からツイッターを使って全国や海外からの支援に感謝のメッセージを送るとともに、避難所の実情や必要とされる支援の内容を伝えてきた。

すると呼びかけに応える人が増えていき、現在では400人以上が主にフェイスブックを通じて村上さんとつながりを持っている。その顔ぶれは医師や看護師、弁護士から、落語家、声優、国内外のボランティアまで、多彩だ。

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