東日本大震災被災住民の窮状を見過ごす行政、ボランティアの支援が命綱

13世帯が入居する「西八幡前仮設住宅」は、気仙沼市の土砂災害ハザードマップ上で危険区域に指定された場所に建設されている。その事実を知らされずに入居した住民は、今年5月3日の豪雨で真夜中に近所の小学校まで避難を強いられた。

西八幡前仮設住宅でも住民やボランティアの手に負えない問題が数多くある。仮設住宅のそばの沢には流木が山積みになったままで、再び豪雨に見舞われた場合、大量の水が仮設住宅に流れ込むおそれがある。

市が対策に動かないことから、村上さんは重機の操作に精通するボランティアの助けを借りて流木の撤去に近く乗り出す考えだ。ところが許可を得るべく「山林の所有者の連絡先を教えてほしい」と市の担当者に問い合わせたところ、「個人情報は教えられない」の一点張り。仮設住宅では駐車場のフェンスも豪雨で横倒しになったままで、トイレのドアの施工不良も放置されている。

災害救助法第22条では、「救助の万全を期すため」として、必要な計画の樹立や設備、資金などの整備を都道府県知事の責務としている。しかし、県と市が責任を押し付け合う中で、自らも被災者であるボランティアが矛盾の解決に奔走しているのが実情だ。

(岡田広行 =週刊東洋経済2012年7月21日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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