今回の人事の意図はどこにあるのか。廣瀬直己社長に聞いた。
──福島第一原発事故前の東京電力は官僚的で、人事も学閥が際だっていた。ところが今回の人事は思い切った若返りを含め、これまでの東電では考えられないものになっている。
東電が厳しい状況にある中で、社員のモチベーションは高めたいが、思い切った報酬を出せる状況でもない。そうした中で行う人事は、経営側からのメッセージになる。給料を少し上げるより、よほどメッセージ性が強い。なので、今回は社長としての私のメッセージを込めた。現在の東電は社内をかき回したり、揺すったりして新たな可能性を見つけなければいけない時期なので、思い切った人事となった。
──3・11後に東電再生に向けた改革の提言書を当時の経営執行部に提出してスポイルされた中堅が、執行役員に起用されていますね。
提言書のことがあったから彼を起用した、ということはない。ただ、チャレンジングな人材を積極的に登用したのは事実。原子力部門にしても、若返りも含めて、思い切った人事を行った。
原発事故で福島の現場の難しさは増し、リスクも高くなり、以前より仕事量も格段に増えていた状況で、ガラガラポンの人事はできなかった。事故から2年3カ月が経ってもまだまだリスクはある。そうした中でも、原子力改革を1年余りやってきて、組織のあり方や発電所と本社の関係など、変えるべきところは大きく変えつつある。だから各事業のトップも思い切って替えなければいけない、となった。
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